ITエンジニアはスキルがあれば資格は不要と言われることがあります。しかし、未経験者がエンジニアを目指すなら資格の取得がおすすめです。この記事では、ITエンジニアに資格はいらないと言われる理由や未経験者に取得をおすすめする理由を解説します。さらに、未経験者におすすめの資格も紹介します。ぜひご覧ください!
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最終更新日:2023年6月8日
目次
ITエンジニアになるために、資格は必ずしも必要なものではありません。
しかし、資格を取得することにはメリットがあり、「いらないですよ」と断言してしまうものでもありません。
例えば、転職を目指す場合には自分のスキルを客観的に示せる根拠となります。また、資格手当を支給する会社もあります。
ITエンジニアに資格がいらないと言われるのには、以下の4つの理由があります。
それぞれの項目について、実際のエンジニアの声とともに解説します。
医師や弁護士などの仕事の場合、その仕事をするためには必ず資格が必要です。しかし、IT資格はそれらの資格と異なり「免許」というわけではありません。つまり、その資格がなければつけない仕事があるわけではなく、あくまでもスキルや知識を示すための1つの基準でしかありません。
実際に、スペシャリストと呼ばれる優れた技術を持つエンジニアの中にも、資格を持っていない人もいます。
ITエンジニアの評価においては、何ができるのかが一番の物差しとなります。また、それまでに培ってきた経験も重要です。それらに比べると、資格の評価は低くなる傾向があります。また、知識だけを詰め込んで資格を取得しても、実際の業務ができなければあまり意味はありません。
実際のITエンジニアの声として、以下のような意見があります。
📣 ITに関する知識を体系的にムラなく習得し、アウトプットできることを確認し、知識レベルを端的に第三者に伝えやすいために資格を取得している。一方でITに関する実務を経験しなければその知識を生きたものにすることができないことも理解している。
📣 IT技術者としての基礎を身につけるという意味で必要。また、ユーザーに対しスキル保有の証明として役立つ。 ただし、資格を取得したからといってIT技術者として活躍できるわけではない。必要だが十分ではない。
参照:「IT資格」を取得する意義を問う、技術者345人の本音|日経クロステック
これらの声の本質は、資格試験に合格することだけを目的とした勉強や、アウトプットできない知識ばかりを詰め込むのは無意味であり、エンジニアとしては不要だということです。
IT資格にはたくさんの種類があります。そのためどの資格がどのような目的・効果・レベルのものかわかりづらいため、資格を持っていても評価が難しいのが実情です。そのため、評価されないのであれば資格は必要ないと考える人もいます。
実際のエンジニアの声として、以下のような意見があります。
📣 IT関連資格の数が多すぎるのもありますが、取得しても何らメリットがないことが多いように感じています。 資格を取ればいいというものでもありませんが、給与や評価、待遇などにもっと反映されるようになればより活性化するのではないかと思います。
参照:「IT資格」を取得する意義を問う、技術者345人の本音|日経クロステック
ポートフォリオとは、自身の制作物をまとめた作品集のことです。エンジニアを目指す際にはポートフォリオの提出を求められることが多くあります。
ポートフォリオを見れば、その人がどれだけ実務に役立つスキルを持っているか、業務遂行能力があるかなどがわかります。面接で話をしただけではわかりづらいプログラミングスキルも、ポートフォリオを見れば一目瞭然です。
IT資格を取得するメリットは、具体的に以下のようなことがあります。
それぞれの項目について、以下で詳しく解説します。
業務の中で身につける知識は、どうしても関わりが深い分野のものに偏ってしまいがちです。一方で、資格を取得する際にはその分野の知識の全体像をつかみ、体系的に学ぶ必要があります。
そのため、業務知識の幅を広げたい場合や、不足している知識を学ぶために資格取得を目指すのは有効な方法です。
実際のエンジニアの声として、以下のような意見があります。
📣 資格は自己研鑽のために取得している。ただ資格を取得するだけでは評価にはつながらない。評価につなげるには良質なアウトプットが必要だが、そのために継続してインプットすることが必要であり、その手段として資格の勉強、取得は有用であると考えている。
📣 資格取得を目指す意義は学ぶためのモチベーションの維持にあると考えています。広範囲に及ぶさまざまなIT関連の知識を学ぶには、高いモチベーションを長期間維持することが不可欠です。
参照:「IT資格」を取得する意義を問う、技術者345人の本音|日経クロステック
資格は、自身が持っているスキルを客観的に証明するためのツールとして利用可能です。また、企業によっては資格を保有していることでより有利に転職活動を進められる場合もありますし、そもそも資格がなければ応募できない場合もあります。
実際のエンジニアの声として、以下のような意見があります。
📣 保有するスキルを客観的に証明するためのツールとして必要だ。職務経歴書だけではスキルを読み取りきれないことが多い。
📣 資格が実力を測る物差しにはならないかもしれないが、仕事できる人には資格所有者が多い。向上心を見る物差しにはなるかもしれない。
参照:「IT資格」を取得する意義を問う、技術者345人の本音|日経クロステック
政府・公共系の仕事や、金融系の仕事などでは参画するエンジニアの条件として資格取得が定められているケースが多くあります。そのため、仕事の幅を広げるために資格取得は有効な方法です。
また、AIやクラウドについては現時点で案件実績の多いエンジニアが少ないため、資格取得によって知識を持っていることを示せるだけでも重宝される可能性がありますよ。
エンジニアは、常にスキルアップを求められる職業です。資格取得のための勉強は、自身のスキルアップにつながります。
また、資格を取得したことによって新しい案件に参画できる可能性もあります。今までと違った案件に関わることも、経験やスキルを得るための良いチャンスです。
実際のエンジニアの声として、以下のような意見があります。
📣 自己の業務知識の幅を広げたり、不足している知識を学べたりするメリットがあるので、資格試験の学習を続けている。
参照:「IT資格」を取得する意義を問う、技術者345人の本音|日経クロステック
企業によっては、基本給に加えて資格手当を別途で支給してくれる場合もあります。
そのため、希望職種に関連した資格を就活前に取得しておくと、就職・転職時も最初から手取り額のアップが期待できます。また難易度の高い資格ほど、考慮される額も上がる傾向に。
リクナビNEXTによると、平均的な相場はこれくらいとのこと。
• 基本情報技術者:月額4,650円
• ORACLE MASTER silver:月額6,625円
• Javaプログラミング能力検定試験1級:月額10,000円
• CCNA:月額11,250円
資格取得の難易度による金額の違いはありますが、5,000円~10,000円程度の差だと考えておけば良いでしょう。
未経験者がITエンジニアを目指すなら、資格取得は非常に有効な方法です。資格取得が有効な理由は以下の通りです。
それぞれの項目について、以下で詳しく解説します。
興味を持ってエンジニアになったものの、いざ仕事を始めてみたら楽しいと感じない、勉強が辛くて挫折してしまうという可能性もあります。
しかし、事前に資格取得のための勉強をしていれば、その時点でエンジニアとしての適性がわかります。勉強を進めても辛くてなかなか前向きになれない、自分はエンジニアに向いていないと感じたら、その時点で別の職業を目指すなど方向転換が可能です。
資格取得のための学びは、エンジニアに必要とされる知識の習得に繋がっているため、スキルを体系的に身につけられるというメリットがあります。
特に、実務経験がない未経験者の場合には、どんなことをどの程度学習したらよいかわからないケースも多いため、資格の取得をひとつの目標とすると学習をすすめやすくなります。
資格は知識や技術の証明となるだけでなく、努力のアピールにも利用できます。
IT業界はトレンドの変化が早く、就職や転職をしたあとも継続的に学習することが求められる業界です。資格を取得していると、スキルの証明とともに、目標の達成に向けて地道に学習をコツコツ続けられる能力があることを示せます。
採用の場では、資格の難易度よりも資格取得までの一連のプロセスを評価してもらえることも多いため、資格取得は転職にとても有効です。
IT系資格には、国家資格とベンダー資格があります。
ベンダー資格とは、製品を製造・リリースする各メーカーによって実施される試験です。特定の製品やサービスに特化した資格で、それに関して特に高い技術を持っていることを示せます。
一方で国家資格は、信頼性や権威性が高く、資格に有効期限がないことが特徴です。
ベンダー資格については、実務上でどのようなスキルが必要になるのか、どのようなキャリアを目指すのかを考え、目的に応じて取得するのがおすすめです。
ベンダー資格を含め、IT業界に就職するのにおすすめな資格については以下の記事で詳しく紹介しています。
ここでは初心者・未経験者におすすめのIT系資格について紹介します。
ITパスポートは、IT未経験者、初心者向けの試験です。国家試験の中では一番簡単なレベル1に該当する試験で、ITエンジニアに限らずIT業界で働きたい人、ITに関する一般的な知識を身につけたいと考えている人が対象です。
ITパスポートを取得することでITに関する幅広い分野の知識を身につけられ、事務系職種に応募する場合でもパソコンの基礎スキルを証明できるのがメリットです。
試験はコンピューターを利用するCBTという方式で行われます。出題分野はストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)の3分野に分かれ、いずれも基礎的な内容を理解しているかが問われます。
合格までの勉強時間は50~100時間程度が目安です。
合格率 | 社会人(IT系):53.5%、社会人(非IT系):57.4%、大学生:48.8% ※令和4年4月度~12月度 |
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出題形式 | CBT(選択問題) |
試験時間 | 120分 |
試験日 | 随時実施 |
受験料 | 7,500円(税込) |
公式サイトURL | https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/index.html |
新型コロナウイルスの影響により、試験会場ではマスクの着用が必要です。また、検温が実施され、発熱が確認された場合受験できず、受験料の返還も受けられないため注意してください。
感染状況に応じて試験が中止される可能性もあります。情報はホームページに掲載されるほか、登録したメールアドレスにも送られてくるので必ず確認しましょう。詳細については、公式HPをご確認ください。
基本情報技術者試験は、IT業界に転職したい、ITに関する基本的な知識を身につけたいと思っている人向けの試験です。ITパスポートがITを利活用する人向けの試験であるのに対して、基本情報技術者試験はIT業界で働くための基礎知識を問う試験です。
そのため、ITエンジニアを目指す場合ITパスポートは就職活動においてそれほど有利になる資格ではありません。一方で、基本情報技術者試験に合格していればITエンジニアとしての就職にも効力を発揮します。
出題分野はITパスポートと同じくストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野ですが、テクノロジ系では考え方を理解するだけでなく実際にプログラミング言語の習得を求められるなど、3つの分野それぞれにおいてITパスポートよりも難易度の高いものとなっています。
合格率 | 34.8%(令和4年上期実績) |
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出題形式 | 多肢選択式 |
試験時間 | 科目A試験:90分 科目B試験:100分 |
受験日程 | 通年(任意の日程で受験可能) |
受験料 | 7,500円(税込) |
公式サイトURL | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html |
新型コロナウイルス感染予防対策として、受験時のマスク着用等を定めています。
詳細は公式サイトでご確認ください。
参照:基本情報技術者試験(FE)~ ITエンジニアの登竜門 ~
なお基本情報技術者試験は、2023年4月より試験制度の大幅改訂が予定されています。
2023年度以降の受験を検討している方は、次の記事をご確認ください。
応用情報技術者試験は、ITの応用的な知識を身につけたいと考えている人向けの試験です。難易度は高く、応用情報技術者試験に合格すると資格手当が出る会社もあるくらいです。そのため、まずは基本情報技術者試験の合格を目指しましょう。
出題分野は上記2つの試験と同じくストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系ですが、基本情報技術者試験よりもさらに高いレベルの知識や技術が求められます。
応用情報技術者試験に合格すれば、ITエンジニアとしての就職・転職のシーンで強い武器になる可能性はかなり高まるでしょう。
ただし、簡単に合格できる試験ではないことも事実ですから、基本情報技術者試験を受けた上で、さらに高いレベルを目指せるか見極めてから受験することをおすすめいたします。応用情報技術者試験に関しては、ITエンジニアとして実務経験を積んでから合格を目指しても遅すぎることはありません。
合格率 | 22.3%(令和元年度) |
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出題形式 | 午前:多肢選択式(四肢択一) 午後:記述式 |
試験時間 | 午前:9:30~12:00(150分) 午後:13:00~15:30(150分) |
試験日 | 4月第3日曜日、10月第3日曜日 |
受験料 | 5,700円 |
公式サイトURL | https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html |
新型コロナウイルス感染症の影響で、試験の中止や実施内容、試験地などが変更になる可能性があります。受験の際には公式サイトで最新の情報を確認してください。
参照:応用情報技術者試験(AP)~ ワンランク上のITエンジニア ~
▶ 参考記事:
応用情報技術者試験の合格率は?難易度と勉強時間の目安まとめ【2018年版】|プロエンジニア
IT業界への就職・転職活動のために資格取得を考えているのであれば、資格の勉強と並行してプログラミングスキルを身につける必要があります。未経験者を採用するIT企業も多くありますが、プログラミングスキルがあれば企業側はその分研修などの手間を減らせるため採用されやすくなります。
ITエンジニアになるには、必ずしも資格が必要なわけではありません。ITエンジニアは資格だけあればよいわけではなく、資格よりもスキルや実績が重要視されます。
しかし一方で、資格があれば客観的に知識を示すことができ、努力のアピールにもつながります。また、資格取得のための勉強をすることで、エンジニアとしての適性を知ることも可能です。
そのため、未経験者の転職には資格取得が非常に有効だと言えるでしょう。ITエンジニアを目指すなら、プログラミングスキルの学習と合わせて資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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