ITパスポートとは、IT業界未経験者や初心者向けの国家資格。試験対策をしながらITに関する基礎知識が幅広く身につくため、高難易度のIT資格に挑戦するための土台を固める入門資格としてもおすすめですが、資格内容や難易度についても気になるところです。本記事では、ITパスポートの資格概要や難易度・合格率を紹介。当資格の取得経験もある現役講師が、iパス対策に必要な勉強時間についても解説します。
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最終更新日:2023年6月7日
目次
通称iパス(アイパス)とも呼ばれているITパスポートは、入門レベルのIT基礎知識を証明できる経済産業省認定の国家資格。IT未経験者や初心者向けの試験であることから、情報処理技術者試験の中でも入門者向けの資格として位置づけられています。
ビジネス社会に必須のIT基礎知識が学べることから、社内研修に取り入れる企業も多いため、今や簿記検定やTOEICと並ぶ就活3大基本資格※ のひとつとなっており、また近年ではさまざまな業界や業種で導入されるだけでなく、プログラミング教育を受けている学生層にも支持されているため、幅広い年齢層の受験者が年々急増しています。
こちらは、ITパスポート試験を主催するIPAが公式に発表した「応募者・受験者・合格者の累計」から過去6年間のデータを抜粋したグラフです。
出典:ITパスポート|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
令和2年の受験者数が減少しているのは新型コロナウィルスの影響が考えられますが、過去6年間の平均合格率は33.99%。
また平成29年度の合格率は29.79%で、受験者数の少なかった令和2年度には48.09%まで上昇していますが、昨年秋の合格率は22.4%まで下がっているため、データ上での合格難易度は上昇傾向にあると言えるでしょう。
前述した合格率からも分かるように、不合格者の割合は受験者の約66%。試験範囲が大変広く、また専門用語も多く出題されるため、IT初心者にとっては難易度は高めと言えるでしょう。
また、社会人と学生の合格率を比較した表は以下のとおり。
■ 令和4年4月~令和4年12月の合格率
社会人 | 56.6% |
---|---|
学生 | 39.9% |
平均合格率 | 52.8% |
出典:ITパスポート|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
※学生の内訳:大学院生862人、大学生8196人、短大生63人、高専生221人、専門学校1536人、高校生1915人、小中学校53人
社会人の合格率は56.6%で学生の合格率は39.9%。そして平均合格率は52.8%なので、出題範囲を網羅したテキストをもとに無理のない学習計画を立ててコツコツと勉強すれば、学生やIT業界未経験の社会人でも合格を目指すことは十分に可能です。
また、弱点を補うためには、学生の方はビジネス分野を、そしてIT未経験者はテクノロジー系の知識を重点的に勉強すると、合格できる可能性がさらにアップするでしょう。
試験対策にあたっては、過去問を繰り返し解くことが合格の秘訣ですが、過去問が解ける無料サイトやアプリについては以下の記事を参考にしてください。
そんな ITパスポートは未経験者でも挑戦できる初心者向けの資格としても知られていますが、他の情報系資格と比較するとどの程度のレベルの資格試験に位置するのでしょうか?
経済産業省が制定したIT人材に対するスキル体系を「ITスキル標準(ITSS:IT Skill Standard)」と呼びますが、ITに関する業務能力をレベル別に数値化したこの指標は、各種IT資格の難易度を知るための目安としても知られていますが、代表的な情報系資格を比較した一覧表は、以下のとおりです。
ITスキル標準 | 同レベルの主な試験 |
---|---|
エントリーレベル (レベル1) |
ITパスポート試験、Ruby技術者認定試験 Silver、ORACLE MASTER Bronze など |
エントリーレベル (レベル2) |
基本情報技術者試験、CCNA、Ruby技術者認定試験 Gold、PHP準上級、ORACLE MASTER Silver など |
ミドルレベル (レベル3) |
応用情報技術者試験、CCNP、PHP上級、ORACLE MASTER Gold など |
この表を見ると、ITパスポート試験はエントリーレベル(レベル1)に分類されており、また学生でも比較的簡単に合格が目指せることからも、情報系の資格の中では最も入門者向けの難易度であることがわかるでしょう。
なおITパスポート試験に合格した人が次のステップとして目指す人気の資格は、基本情報技術者試験です。資格の詳細については、こちらの記事を参考にしてください。
IT業界への転職が有利になる資格については、以下の記事も参考にしてみましょう。
ITパスポート試験の合格基準と合格条件は、総合評価点600点以上、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上です。
総合評価点 | 600点以上/1,000点(総合評価の満点) | ||
---|---|---|---|
分野別評価点 | ストラテジ系 | 300点以上/1,000点(分野別評価の満点) | |
マネジメント系 | |||
テクノロジ系 |
つまりは、各分野の知識をバランス良く身につけないと合格できないため、苦手分野を一つひとつ克服して体系的に理解できるような学習スケジュールを立てておくと安心でしょう。
では、ITパスポート試験に合格するためには、どれぐらいの学習時間が必要なのでしょうか?
今回は、未経験からITエンジニアを目指すスクール「プログラマカレッジ」の講師であり、自らも合格者である河村佳奈講師に、ITパスポートに合格した方の勉強時間の目安を聞いてみました。
アドバイザー
プログラマカレッジ講師 河村 佳奈
これまでSESのエンジニアとして様々なプロジェクトに携わってきました。私自身も、エンジニアになる前はわからないことだらけで、試行錯誤しながらプログラミングを学んできました。技術面だけではなく、プログラミングを使ってモノづくりをしていく楽しさ、IT業界の話についてもお伝えしながらサポートさせていただきます。
以上、河村講師の解答をまとめると、ITパスポートの合格に必要な勉強時間は、
・未経験者や初心者の場合:1日2時間/週5~6日かけて勉強するなら「約2ヶ月間」
・IT経験者や学生の場合:1日2時間/週5~6日かけて勉強するなら「約1ヶ月間」
と考えておけば良いでしょう。
ここまでITパスポート試験に合格するための勉強時間について解説しましたが、ITパスポート試験は特に受験資格はありません。また年齢や国籍を問わず誰でもチャレンジできる国家試験ですが、中でも以下のような人におすすめです。
• ITに関する知識を基礎から身につけたい人
• IT企業との商取引やIT部門の会議に参加する非IT系の人
• 情報処理に携わる部署の管理職に就任した非IT系出身者
未経験からIT業界への就職を目指すにあたって、ITに関する知識を基礎から身につけたい人には、基本を幅広く学べるITパスポートがおすすめです。
また、ITパスポートでは業界の専門用語の知識も習得できるため、非IT系の人であっても IT企業との商取引や情報系部門の会議に参加する機会があるなら、取得しておくとよいでしょう。
さらに、試験では開発技術やプロジェクトマネジメントなどについても問われるため、情報処理に携わる部署の管理職に就任した非IT系出身者の方にもおすすめです。
このようにITパスポート試験は初学者向けの資格試験のため、これから独学で取得しようと考えている方もきっと多いことでしょう。
ITパスポート試験は効率的に学習計画を立てさえすれば、最短1ヶ月間で合格を目指すことが可能ですが、その場合の勉強方法は以下のとおりです。
また、独学1か月で合格するためのコツは次の3つです。
ITパスポート試験に合格できるおすすめ参考書と問題集については、こちらの記事を参考にしてください。
さいごは、ITパスポートの試験内容と出題範囲も確認しておきましょう。その概要をまとめた表は、以下のとおりです。
■ 試験内容
試験時間 | 120分 |
---|---|
出題数 | 小問:100問(*1) |
出題形式 | 四肢択一式 |
試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式 |
採点方式 | IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出 |
(*1)総合評価は92問、分野別評価はストラテジ系32問、マネジメント系18問、テクノロジ系42問で行います。
■ 出題範囲
出題分野 | 内容 | 出題数の目安 |
---|---|---|
ストラテジ系(経営全般) | 企業と法務、経営戦略、システム戦略 | 35問程度 |
マネジメント系(IT管理) | 開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント | 20問程度 |
テクノロジ系(IT技術) | 基礎理論、コンピュータシステム、技術要素 | 45問程度 |
※出題範囲の詳細はこちらをご参照ください
なお、上記3つの出題分野についての詳細は、次のとおり。
✔ ストラテジ系(経営全般)
✔ マネジメント系(IT管理)
✔ テクノロジ系(IT技術)
冒頭でも解説したとおり、総合評価点が合格ラインの600点以上でも、分野別における評価点のいずれかが300点以下の場合は残念ながら不合格に。
したがって、バランスよく知識を身につけられるように心がけながら試験対策をしておくと万全です。
ITパスポート試験対策におすすめの参考書と問題集については、ぜひこちらの記事も参考にしてください。
今回はITパスポート試験の難易度について解説しました。
ITパスポートは未経験からIT企業に就職する際のアピール材料としては少々弱めの資格ではありますが、この資格を取得することでIT業界で働くための基礎知識が身につくだけでなく、今後高難易度のIT資格を取得する際の土台作りにも最適な試験なので、経験の浅い方はぜひ合格を目指してみてはいかがでしょうか。
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未経験者や初心者の方は、ぜひこの機会にITパスポート試験から挑戦し、段階を追って高難易度の資格取得へつなげるための基礎固めを始めてみてはいかがでしょうか。
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