【2024年版】ITパスポート試験の合格率は約50%と二人に一人が合格できるレベルのIT系の国家資格ですが、他のIT資格と比較すると難易度はどれくらいなのでしょうか?本記事では、基本情報技術者試験との違いや学生と社会人の合格率の比較、受験者数が急増している理由も徹底解説。独学の方法やおすすめの人、合格に必要な勉強時間についてもプログラマカレッジの講師が解説するので、取得を検討している方はぜひ参考にしてください。
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最終更新日:2024年5月22日
目次
通称iパス(アイパス)とも呼ばれているITパスポートは、情報処理技術者試験の中でも最も初級の試験であり、入門レベルのIT基礎知識を証明できる経済産業省認定の国家資格として位置づけられています。
また、ビジネス社会に必須のITに関する基礎知識が学べることから、最近では社内研修に取り入れる企業も多く、就活を控えた大学生や、プログラミング教育を受けている高校生や専門学生向けのおすすめ資格としても知られている情報処理系の入門資格です。
経済産業省が制定したIT人材に対するスキル体系を「ITスキル標準(ITSS:IT Skill Standard)」と呼びますが、ITに関する業務能力をレベル別に数値化したこの指標は、各種IT資格の難易度を知るための目安としても知られています。
その代表的な情報系資格を、ITスキル標準のレベルごとに分類した一覧表は、以下のとおりです。
ITスキル標準 | 同じレベルの情報処理系資格 |
---|---|
エントリーレベル (レベル1) |
ITパスポート試験、Ruby技術者認定試験 Silver、ORACLE MASTER Bronze など |
エントリーレベル (レベル2) |
基本情報技術者試験、CCNA、Ruby技術者認定試験 Gold、PHP準上級、ORACLE MASTER Silver など |
ミドルレベル (レベル3) |
応用情報技術者試験、CCNP、PHP上級、ORACLE MASTER Gold など |
出典:ITスキル標準V3ダウンロード|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
なお、ITパスポート試験に合格した人が次のステップとして目指すIT資格は、「エンジニアになるための登竜門」とも言われている基本情報技術者試験ですが、両者の違いは何でしょうか?
ITパスポート試験 | 基本情報技術者試験 | |
---|---|---|
どんな資格? | ITを活用する上で前提となるIT知識を証明する資格試験 | システムの設計や開発に関する専門知識と技術を測る資格試験 |
対象者 | ・ITリテラシーを高めたい人 ・IT技術の活用を進めたい人 ・IT系の知識が必要な仕事をするすべての人 |
・システム開発会社やSIerなどに入社する人 ・ITエンジニアとして働き始める人 |
難易度 | やさしめ | やや難しめ |
ITスキル標準 | エントリーレベル(レベル1) | エントリーレベル(レベル2) |
合格率 | 49~54%程度 | 42~56%程度 |
合格者に求められるスキル | ITに関する共通的な基礎知識を持ち合わせ、ITを活用しながら担当業務を遂行するスキルを求められる | ITエンジニアを目指す方に向けて、設計・構築のスキルを求められる |
試験時間・出題数 | 120分・100問 |
科目A:試験時間90分・60問 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
科目A:多肢選択式(四肢択一) |
合格に必要な勉強時間 |
未経験者:約100~130時間 |
未経験者:約200時間 |
合格を目指せるまでの期間 | 最短で1ヶ月 | 3~4ヶ月 |
(注)IT経験者とは、情報系の学校でITについて学んだことがある人やすでにIT業界で働いている人のことを指す
参考:ITパスポート試験・情報処理技術者試験|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
結論を述べると、ITパスポート試験に比べて基本情報技術者試験のほうが難易度が高く、合格率も少々低めです。
したがって、ITに関する知識が全くない方やIT初心者の場合は、まずITパスポート試験の受験をおすすめします。
一方、エンジニアの方は、より専門的な知識が問われる基本情報技術者試験の方が適していますが、どちらの資格もIT未経験者と経験者とでは、合格に必要な勉強時間も異なります。
また、両者ともITに特化した専門性の高い国家試験であるため、ご自身が保持している前提知識を把握したうえで学習スケジュールを組み立て、試験対策に励みましょう。
ITパスポート試験に独学1ヶ月で合格するための勉強方法については、以下の記事で解説しています。
ITパスポートと基本情報技術者試験の違いについての詳細は、こちらの記事も参考にしてみましょう。
下の図は、ITパスポート試験を主催するIPAが公式に発表した過去7年間の統計データから、受験者数・合格者数・合格率を抜粋したグラフですが、直近7年間におけるITパスポート試験の平均合格率は52.8%でした。
出典:【ITパスポート試験】統計情報(令和6年3月時点)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
このグラフからも分かるとおり、受験者数は増加の一途をたどっていますが、ITパスポート試験の受験者数がここ数年で急増しているのはなぜでしょうか?
その理由は、主に次の5つです。
✔ デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
✔ 非IT系企業の増加
✔ 社会人応募者の増加
✔ ITスキルの需要の急速な増加
✔ 教育機関のカリキュラムへの採用
前述した通り、ITパスポート試験の合格率は約50%であり、これは逆に言えば、受験者の約半数が不合格であることを意味します。
また、試験範囲は経営全般やITに関する管理、アルゴリズムとプログラミングなどのIT技術に関する問題など、比較的広範囲にわたって出題されるため、ITの初学者や未経験者にとっては難易度が少し高めに感じるかもしれません。
出典:ITパスポート統計結果(令和5年4月~令和6年3月)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
IPAが公表している受験者数の割合を示したこのグラフを見ると、社会人の割合は78.8%と学生に比べて圧倒的に多いことがわかりました。
出典:ITパスポート統計結果(令和5年4月~令和6年3月)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
社会人の合格率は53.0%で学生の合格率は40.2%、そして平均合格率は50.3%なので、学生でも社会人と同様に合格できるチャンスは十分にある試験であると言えます。
また、令和5年4月~令和6年3月における最年少の合格者層は10才以下の7人(受験者数33人)で、最高齢の合格者層は75歳以上の19人(受験者数41人)でした。
このように、ITパスポートは、小学生から高齢者まで幅広い層の方が合格可能な試験であることがわかりますが、続いては、令和5年度に受験した学生の内訳とその合格率についても見ていきましょう。
出典:ITパスポート統計結果(令和5年4月~令和6年3月)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
このグラフを見ると、最も受験者数が多いのは大学生で32,317人で、次に多いのは高校生で11,420人です。そして、最も合格率が高いのは大学院生で69.7%です。一方、受験者層が最も少ない小・中学生の合格率が35.5%と、高専生とあまり変わらないことも興味深いポイントです。
また、高校生の合格率は24.4%と若干低めではありますが、特に高校生の場合は、在学中に取得しておくと大学進学時に次のようなメリットがあります。
活用内容 | 大学数 |
---|---|
入試優遇 | 266校 |
単位認定 | 111校 |
シラバスの一部又は全部を参考とした授業カリキュラムの策定 | 80校 |
受験対策支援講座の実施 | 138校 |
受験を推奨(受験料補助、合格者の表彰、報奨金等支給) | 118校 |
出典:ITパスポート試験 – 高校生の方へ|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
また、IT未経験の方が受験する場合、弱点を補うためには、学生の方はビジネス分野を、そしてIT未経験者はテクノロジー系の知識を重点的に勉強すると、合格できる可能性がさらに高まります。
ITパスポート試験に受かるコツや合格に向けた攻略法については、以下の記事を参考にしてください。
出典:ITパスポート試験 – 試験内容・出題範囲|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
試験は120分間で行われ、出題形式は多肢選択式(四肢択一)で、試験会場のパソコンを使用して実施されます。
出典:ITパスポート試験 – 試験内容・出題範囲|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
※出題範囲の詳細はこちらをご参照ください
出典:ITパスポート試験 – 試験内容・出題範囲|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
✔ ストラテジ系(経営全般)
ストラテジ系を理解するためのポイントは、以下のとおりです。
• 経営戦略と情報システム戦略の連携:
企業の市場での競争優位を確立し、持続可能な成長を達成するための方向性を定める経営戦略と、それを支援する情報システム戦略の理解が重要です。
• 情報システムの企画と導入:
組織が効率的に運営され、経営戦略の実現を支援するための情報システムの企画と導入プロセスの理解が必要です。
• 最新技術のトレンドと影響:
クラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)など、最新の技術トレンドに関する知識も問われます。これらの技術がビジネスモデルや経営戦略に与える影響を理解することが求められます。
IT未経験者の方でも、日常生活を例にとって考えることで、ITパスポート試験のストラテジ系の内容を理解しやすくなります。
✔ マネジメント系(IT管理)
マネジメント系の問題では、以下の内容が含まれます。
• プロジェクト管理:
効果的な進捗管理、リスク管理、品質管理など、システム開発プロジェクトを円滑に進めるための知識が求められます。
• サービス管理:
ITサービスの企画、設計、運用、評価に関する知識や、国際的なサービス運用規格(例:ITIL)についての理解が必要です。
• システム監査:
情報システムの目的適合性、有効性、機密性、整合性などを点検・評価する監査に関する知識が問われます。
たとえば、家計簿アプリで予算を管理するのはプロジェクト管理の一種、スマートフォンのアップデートはサービス管理、そしてスマートフォンが正しく機能しているかを確認するのがシステム監査に似ています。
✔ テクノロジ系(IT技術)
この分野では、主に以下のようなトピックについての基本知識が必要です。
• ハードウェア:コンピュータやネットワーク機器の構成や仕組みに関する知識
• ソフトウェア:オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトの種類と特徴
• ネットワーク:LAN、WAN、インターネットなどの通信方式や規格
• データベース:データベースの構造と設計方法
• セキュリティ:情報セキュリティの脅威と対策
テクノロジ系問題の攻略のコツについては、こちらの記事を参考にしてみましょう。
今回は、未経験からITエンジニアを目指すスクール「プログラマカレッジ」の講師であり、自らも合格者である河村佳奈講師に、ITパスポートに合格した方の勉強時間の目安を聞いてみました。
アドバイザー
プログラマカレッジ講師 河村 佳奈
これまでSESのエンジニアとして様々なプロジェクトに携わってきました。私自身も、エンジニアになる前はわからないことだらけで、試行錯誤しながらプログラミングを学んできました。技術面だけではなく、プログラミングを使ってモノづくりをしていく楽しさ、IT業界の話についてもお伝えしながらサポートさせていただきます。
以上、河村講師の解答をまとめると、ITパスポートの合格に必要な勉強時間は、
・未経験者や初心者の場合:1日2時間/週5~6日かけて勉強するなら「約2ヶ月間」
・IT経験者や学生の場合:1日2時間/週5~6日かけて勉強するなら「約1ヶ月間」
と考えておけば良いでしょう。
• 高校生:進学を選ぶ際、大学によっては入試の優遇処置を受けられる
• 大学生:国家試験のITパスポートは企業からの認知度も高いため、就職活動で有利に働くことが期待できる
• 社会人:ITの基礎知識だけでなく、経営戦略やマーケティングなどの知識も習得できるため、業務改善提案力の向上に役立つ
また、この試験は年齢や国籍を問わず誰でもチャレンジすることが可能ですが、中でも、ITパスポートは以下のような人には特におすすめです。
• ITに関する知識を基礎から身につけたい人
• IT企業との商取引やIT部門の会議に参加する非IT系の人
• 情報処理に携わる部署の管理職に就任した非IT系出身者
さらに、試験では開発技術やプロジェクトマネジメントなどについても問われるため、情報処理に携わる部署の管理職に就任した非IT系出身者の方にもおすすめの資格試験です。
iパスを取得して履歴書に書いた場合のメリットとデメリットや、履歴書に書くときの注意点については、以下の記事を参考にしてください。
試験勉強では、インプット(知識を蓄えること)とアウトプット(問題演習を通して知識を使いこなす練習をすること)のバランスが重要です。
ITパスポート試験は効率的に学習計画を立てさえすれば、最短1ヶ月間で合格を目指すことが可能ですが、その場合の具体的な勉強方法は以下のとおりです。
また、独学1か月で合格するためのポイントは、次の3つです。
ITパスポート試験に合格できるおすすめ参考書と問題集については、こちらの記事を参考にしてください。
最短でITパスポート試験に合格する勉強方法や学習スケジュールの組み立て方について知りたい方には、以下の記事もおすすめです。
無料の学習サイトは、ITパスポート試験の基礎から応用に至るまで、幅広い知識を網羅しています。
たとえば、「Ping-t」では2,500問にも及ぶ過去問を無料で解答することができ、シンプルながらも要点を押さえた解説が特徴です。さらに、「過去問道場」では2,400問以上の問題を解くけるだけでなく、初心者の方でも容易に理解を深めることができます。
私が試験対策に使ったサイトは、ITパスポート試験ドットコムです。
こちらのサイトは用語の解説も充実していて、過去問も過去24期分おいてあるのでおすすめです。私の場合は、過去10回分を繰り返し行い9割とれるようにしてから受験に挑みました。
スマートフォンアプリを利用すれば、通勤時間や待ち時間などのスキマ時間を有効に使って学習することも可能です。たとえば、「ITパスポート 絶対合格の問題集」は、iOSとAndroidの両方で利用可能で、動画と全問解説が付いているため、理解を深めながら効率的に学習を進めることができる便利なアプリです。
私がおすすめするアプリは、次の2つです。
▸ 全問解説付ITパスポート 一問一答問題集
▸ ITパスポート 全問解説
通勤や通学などの空いた時間にも試験対策をおこないたい方は、スマホアプリを活用した学習もおすすめですので、ぜひ併用してみてください。
ITパスポートの試験対策ができるアプリについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみましょう。
YouTubeチャンネルもまた、視覚的な学習に役立ちます。専門用語の解説や直前対策など、動画を通じて理解を深めることができるため、読むだけでは難しい内容も理解しやすくなります。
IT未経験者は、まずYouTubeで基本知識を学び、その後の2週間は暗記を中心に学習し、試験直前は過去問を集中的に解くという方法が効果的です。
とはいえ、どの学習方法を選択するにしても、事前に大まかな学習スケジュールを立てることで、短期間でも効率的に対策を進めることができるので、まずはご自分が学びたい方法で学習計画を立ててることから始めてみましょう。
出典:ITパスポート試験 – 試験の流れ|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
バウチャーとは、ITパスポート試験の受験手数料支払いに使用できる電子的な前売りチケットのこと。チケット番号はWebサイト上で発行されます(紙のチケットは発行されません)。
チケットは1回の申込で1枚~9,999枚まで購入可能で、チケットの有効期限はチケット発行後1年間です。
バウチャー購入者は、チケットの使用状況や受験者の成績や合否もWeb上で把握できるため、効率的に受験手続きを進めたい方はぜひ活用してみましょう。
出典:ITパスポート試験 – バウチャー購入申込|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
とはいえ、仮に不合格だった場合でも、ITパスポートは何回でも受験することが可能ですし、合否の結果だけではなく、総合評価と分野別の評価がわかるので、自身の弱点を把握することにも役立ちます。
そして、合格した方も繰り返しチャレンジすることによって、さらなる得点アップを目指すことができるので、IT業界へ就職したい方は、ITに関する知識を万全に習得しておくためにも、ぜひ満点合格を目指してみてもよいかもしれません。
また、ITパスポート試験を足掛かりにプログラミングスキルも身につけて、未経験からIT企業への就職を目指したい方には、無料のプログラミングスクール「プログラマカレッジ」もおすすめです。
現在プログラマカレッジでは、ITパスポート試験に合格して入社決定に至ると、受験料金が全額返金となるキャンペーンを実施中。
さらに業界に精通したアドバイザーや経験豊富なプロの講師陣が就職をしっかりとサポートしてくれるので、未経験者でも安心して就職活動に専念することが可能です。
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ぜひこの記事を参考にして、この機会にITパスポート試験にチャレンジしてみてくださいね。
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