就職活動・転職活動時に作成するポートフォリオの作り方やコツを知りたい方へ。どんな内容が採用担当者からの評価が高いのか、GitHubの重要性とは、初心者でも挑戦しやすい目コピサイトのオススメ、そもそもポートフォリオって必要?など、さまざまな疑問に例えを交えながら解説します。魅力的なポートフォリオづくりの参考にしてください。
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最終更新日:2022年12月2日
目次
エンジニアの就職・転職にポートフォリオはそもそも必要なのでしょうか?
答えは、「マストではないが作るべき」。
用意することで自身のスキルや実績をアピールでき、職務経歴書や自己紹介書に書かれている内容を裏付けることができます。
評価されるポートフォリオを作るにはどうすればいいのかを下記にまとめました。
エンジニア業界は2030年には約45万人の人材需要があるとの調査結果が出ており、今後、さらに売り手市場になる業界と予想されています。
ポートフォリオがなくともスキルや実績を証明できれば、就職・転職は年々しやすくなっていくのかもしれません。
それでも、ポートフォリオは必須でなくとも作ることをオススメします。
ポートフォリオがあると自身のスキルを証明でき、面接も有利に。採用サイドにとっては実務未経験者の技術を知れる重要な判断材料になっています。
ポートフォリオがあることで、応募者と採用サイド間に入社後のギャップが生まれにくく、双方にとってメリットが生まれるのです。
では、実際に採用担当者の方々は、どのような場面でポートフォリオを参考にしているのでしょう。
過去の実績をポートフォリオに含めた場合、「どんなターゲットに向け、どのようなサービスを提供していたのか」、「どのような要件定義がされ、どの工程を担当したのか」などの情報を採用担当者に正確に知らせることができます。
例えば応募者がインフラエンジニアの場合、どのような要件定義がされ、どれくらいのユーザーが利用していたのか。負荷の分散やスケーリングはどのようにやっていたのかなど、過去の実務からエンジニアとしての知識やスキルを知ってもらうことができ、採用の判断材料にしてもらいやすいのです。
応募者のスキルを見極めるため、人事部ではなく現場のエンジニアが採用担当者を兼ねるケースも多いエンジニア採用。ポートフォリオをコードレビューする環境が整っていると、採用担当エンジニアは応募者のコード品質を確認することができ、採用判断に活かせます。
例えばチーム開発がメインの企業の場合、コードレビューをすることで、採用担当者は応募者のコードの可読性や丁寧なclassの整理ができるかどうかなどを理解することが可能に。
近年はエンジニアの就職・転職ではGitHub採用※が積極的に取り入れられるようになってきており、GitHubの提出がマストのケースもあります。
メルカリでは、2015年の新卒エンジニア職の選考にGitHub採用を導入し話題となりました。
※GitHub採用:
ソフトウェア開発のためのソースコード管理サービスGitHubのアカウントを活用したエントリー受付および選考を行うこと。企業は事前にエンジニアのスキルを確認することができる
参照:GitHub採用を取り入れている企業をまとめてみた|Findy
こちらもあわせてご覧ください。
▸関連記事:1-2. 【前提】成果物は必須ではないが「あると話が早い」
実務未経験者の場合、GitHubでオリジナルアプリケーションや目コピサイトのコードを公開しポートフォリオとして使用することで「やる気」を評価してもらえる判断材料になります。
少なくとも「本を読んだだけ」という段階ではなく、コードをつくる実践力があると評価してもらえるので、プラス要素になると考えてよいでしょう。
とはいえ、なかには採用担当者に評価してもらえないポートフォリオも。どんなケースが評価されないのかを下記でご説明します。
エンジニアの重要な役割のひとつとして、”要件定義” が挙げられます。
要件定義とは、まずクライアントから「どのようなシステムを作りたいのか」をヒアリング。その上でシステムやソフトウェア開発に採用する言語やフレームワークなどに「なぜそれを採用するのか」をロジカルに理由づけていく作業です。
例えばPythonというプログラミング用語でWebアプリを作った場合を例に挙げてみましょう。
【PythonでWebアプリを作った場合の要件定義】
→DjangoまたはFlask、それとも別のフレームワークを使用したのかなどを説明
→「大規模開発かつ継続的な機能追加が予測されるためDjangoを採用した」など、明確な理由を挙げられることが大事
上記のように、仕様に対する理由をひとつひとつ説明できる必要があります。
ただ学習用に制作しただけのアプリやコードの提出では、なぜこの仕様なのかの説明が不十分で”学習意欲がある” 程度の評価になりがちなので注意が必要です。
フロントを担当するデザイナーやフロントエンドエンジニアの場合は、「なぜそのデザインなのか」という説明も重要です。
既存サービスの目コピサイトを作成し、ポートフォリオとする場合は、“自分なりのデザイン改善” をおこない、オリジナリティを出すことも一つの工夫でしょう。
元サイトと違う位置にハンバーガーメニューを移動してみる、PCサイトとスマホサイトが分かれている場合は、さまざまなデバイスに対応できるレスポンシブデザインに変更するなど、工夫次第でポートフォリオとしての評価は上がります。
スキルセットとは、自分が使える技術の一覧のことです。
技術が制作物に直接的に反映されていないケースや、バックエンドの技術など「ぱっと見」ではわかりづらいケースもあるため、抜け漏れなく評価をしてもらうためにも、スキルセットをしっかり明示しておくことは大切です。
どれだけ見た目にこだわったポートフォリオを作成しても、モバイルで開いたときに崩れてしまうようでは評価が下がるので要注意。
総務省による通信利用動向調査では、端末別のインターネット利用率はスマホがナンバーワンとなっています。
一番閲覧される端末で表示が崩れてしまっては本末転倒です。
実務未経験者や初心者の方は、PCビューの見た目に凝りすぎて、モバイル表示が崩れてしまわないように注意しましょう。
では逆に、どういったポートフォリオが高い評価を得られるのでしょう。
ポートフォリオはスタイリッシュであることよりも、シンプルかつ実用的であることが大切です。
オリジナルアプリを開発してポートフォリオとする場合、ユーザーが抱える課題を明確に設定し、どのような解決策を提供するアプリにしたのかという点が重視されます。
要件定義をどのように行ったのか説明できて、実装まで完了していれば、機能自体は小規模なもので構わないでしょう。
例えばToDoリストのスマホアプリをオリジナルアプリとして開発し、ポートフォリオにする場合。ビジネスパーソン向けか主婦向けかで、あると便利な機能や項目、望ましいデザインが違ってきます。
それぞれをしっかりと分析・比較し、機能やデザインとして実装することが、高い評価を得られるポートフォリオ作りには重要です。
特定のサイトからのスクレイピング※を取り入れたWebアプリを制作する場合、ポートフォリオの段階から実践的な課題認識と、負荷分散を踏まえた開発を行うことがオススメです。
一度に多くの人がアクセスし、アプリ上でスクレイピングを実行してもサイトダウンしない高負荷の処理やスケーリングも想定されたアプリを製作しておくと、即戦力としての期待は高まることでしょう。
※スクレイピング:
対象ウェブサイトのHTMLから必要な情報を抽出するコンピュータソフトウェア技術のこと
ポートフォリオ自体が高いクオリティを持っていることも大事ですが、たくさんの制作物を掲載し、採用担当者にやる気を見せることも評価に繋がります。
ポートフォリオは即戦力になるかどうかを判断するだけでなく、制作者にどれくらいのやる気があり、伸びしろがあるかを知るための判断材料にもなっています。
常にアップデートし、よりよいものを見せる努力も大切です。
次に実際に就職・転職で役立つポートフォリオ作りのコツをご紹介します。
実務未経験者の方は、まずは下記の2項目をおさえることからはじめてみましょう。
先にも紹介したメルカリの他にも、GitHubをエンジニア採用に取り入れる企業は増加傾向にあるため、まずはGitHubアカウントを用意しましょう。
GitHubは決してマストではありませんが、エンジニアやプログラマーとして採用後、必ずと言っていいほど必要となってくるため、今のうちからアカウント取得をしておくと良いでしょう。
▸GitHubアカウントの取得はこちらから
こちらもあわせてご覧ください。
▸関連記事:2-1. 【準備】GitHubアカウントを用意する
ポートフォリオで何を作ったらいいか分からない、オリジナルアプリを思いつかない、といった人は、既存サービスの目コピをオススメします。
目コピとは検証ツールを使用せずに、目視でWebサイトを同じようにコーディングすること。
既存サービスはどのように設計されているのかを自身の力で紐解き、考えることは、とてもよい訓練になります。
下記にオススメのサイトを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
【目コピにおすすめのサイト】Airbnb
Airbnb(エアビーアンドビー)は、宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイト。
Airbnbの模写は、Webアプリケーションフレームワーク「Bootstrap※」が使える段階で取り組むことをオススメします。
Airbnbでは、ナビゲーションを作る時にBootstrapが使われており、ある程度の部分はBootstrapだけで対応できるのですが、ナビゲーションメニューの開閉などの部分にはjQueryが必要に。
想像以上に難しい内容となっていますが、「サイトを見てHTML構造を考察」「HTMLの骨組みを作る」「CSSでレイアウトを作る」といった開発の流れを非常に細かく、実践的に学べるサイトとなっています。
※Bootstrap:
ウェブサイトやWebアプリケーションを作成するフロントエンドWebアプリケーションフレームワーク
【目コピにおすすめのサイト】iSara
バンコクのノマドエンジニア育成講座iSara(イサラ)のサイトも目コピにオススメです。
作業ボリュームが多いため、さまざまな知識を学ぶことが可能。レスポンシブやナビゲーションバーの追従、戻るボタンの実装、Bootstrap、jQueryによるアコーディオンメニューなど、幅広いスキルを学ぶことができるでしょう。
またiSaraはエンジニア育成に関するサイトでもあるので、サイトの内容自体もプログラミング未経験者にとっては興味深く、楽しみながら制作できるでしょう。
ポートフォリオを作るにあたって疑問に思っていることはありませんか?
下記によくある質問をまとめましたので参考にしてみてください。
新卒かつ未経験者の採用実績がある企業であれば、必ずしも選考にポートフォリオが必要というわけではありません。
とはいえ、アピールできる要素があるに越したことはないので、できれば簡単な目コピ程度でも用意しておくことがオススメ。学習意欲があるとアピールすることができるでしょう。
既卒かつ20代後半~30代前半の未経験からのエンジニア転職の場合は、ポートフォリオは必須アイテム。
ポートフォリオを作ることはもちろん、クラウドソーシングでの案件受注をこなしたり、勉強会などで出会った仲間たちとチーム開発に挑戦するなど(擬似的なものでも可)、さまざまな経験を積んでおくことをオススメします。
バックエンドエンジニアの場合、フロント部分の実装はシンプルでOKなので、スクレイピングやディープラーニングなど高負荷な処理が発生するWebアプリを開発するとよいでしょう。
高負荷な処理が発生した場合の負荷の分散や、アクセスが集中した場合の対策などを要件定義にしっかりまとめ、実装(実際のアクセス数などはシミュレーション値とする)。
内容を自分の言葉でしっかり説明できるようにしておくことが大切です。
参照:バックエンドエンジニアとは?仕事の内容と必要なスキルまとめ|エドプロコ
エンジニアの就職・転職にとって、ポートフォリオはマストではないけれど作るにこしたことはありません。
ポートフォリオは過去の実績や自身のスキル、やる気を証明できる、いわば履歴書のようなもの。面接を有利にし、入社後のギャップを生まれにくくするためにも、しっかり内容の濃いポートフォリオ作りを心がけましょう。
実務未経験者の方は、まずGitHubアカウントを準備し、目コピをするなどして実践的に学びながらポートフォリオを充実させましょう。
制作過程は大変かもしれませんが、完成すれば大きな自信に繫がります。あなたらしいポートフォリオが完成することを祈っています!
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