職業訓練校は、さまざまなスキルを無料で身につけられる施設です。IT系のコースを受講すれば、エンジニアを目指せるスキルが身につきます。この記事では、IT分野の職業訓練に関する基礎知識や、職業訓練を利用するメリット・デメリットを解説しています。職業訓練を受けたいと考えている方は、ぜひご覧ください。
なおIT系の職種やプログラミングに興味があるという方には、無料のプログラミングスクール「プログラマカレッジ」もおすすめです。
最終更新日:2024年9月12日
目次
職業訓練は、民間の教育訓練機関や職業能力開発校、職業能力開発促進センターなど、全国各地での受講が可能です。
詳細は、公式サイトでご確認ください。
▶ 公式サイト:ハロートレーニングとは|厚生労働省
IT系の職業訓練について、以下で基本的な情報を紹介します。
IT系の職業訓練校では、プログラミングをはじめとしたITの知識やスキルを学べます。コースは幅広く展開されており、以下のようなコースの中から自分の目指すキャリアに合わせて学習内容を選びます。
テキスト代などの実費は必要ですが、それ以外の費用はかからず無料で受講可能です。1人1台パソコンが用意されているため、自宅に学習環境がない人も心配ありません。
基礎から学習できるため、初心者や未経験者・他業種からの転職を目指す人でも受講できます。また、資格取得も目指せます。
職業訓練を受けるための手続きは、次の手順で進めましょう。
• ハローワーク窓口で職業相談を受ける
• 受講する職業訓練校とコースを決める
• 職業訓練校の説明会に参加する
• ハローワークで入学申し込みの手続きをする
• 選考試験を受ける
• ハローワークで就職支援計画書の交付を受ける
職業訓練を受けるためには、まずハローワーク窓口での職業相談が必要です。また、職業訓練を受けるためには就職支援計画書の交付を受ける必要があるため、選考試験を通過後に必ずハローワークで手続きをしてください。
ハローワークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶ 今更聞けない!「ハローワーク」ってどんなところ?|おなやみチョイス
プログラミングを主に学べるのは、求職者支援訓練です。求職者支援訓練には、基礎コースと実践コースがあります。基礎コースは、パソコンの使い方の基礎を学習するためのコースです。キーボードやマウスの使い方、表計算ソフトの使用方法などを学びます。
実践コースは、より高度なスキルを身につけるためのコースです。ITエンジニアやプログラマーを目指せるコースの例は次の通りです。
コース名 | 学べる内容 | 受講期間 |
---|---|---|
Java・Pythonプログラミング科(eラーニング) | ・Java ・Python ・ソフトウェアの設計 など |
6ヶ月 |
IoT・AIエンジニア科 | ・システム開発 ・生成AIを利用した業務効率化 ・IoTプログラミング など |
5ヶ月 |
Java・Webプログラミング科 | ・Webプログラミング ・Javaプログラミング ・サーバーサイドJava など |
6ヶ月 |
自分に合った求職者支援訓練のコースを見つけるためには「ハローワークインターネットサービス」を利用しましょう。「ハロートレーニングコース情報検索」のページにアクセスすると、ハローワークが斡旋している職業訓練を検索できます。
コース種別や想定する分野のほか、エリアや訓練機関も指定して検索可能。通える範囲で、受講したいIT分野のコースが開講されているか、どの程度の期間受講すれば良いのかがわかります。ハローワークの求職者マイページがなくても検索できるため、まずは通いやすい地域の求職者支援訓練を確認してみてください。
基礎コース | 実践コース | |
---|---|---|
平成23年度 | 73.4% | 75.1% |
平成24年度 | 80.6% | 79.5% |
平成25年度 | 83.5% | 84.5% |
平成26年度 | 53.0% | 57.6% |
平成27年度 | 56.4% | 60.9% |
平成28年度 | 58.9% | 63.8% |
平成29年度 | 58.0% | 65.0% |
平成30年度 | 59.6% | 63.9% |
令和元年度 | 56.5% | 62.4% |
令和2年度 | 52.5% | 60.0% |
令和3年度 | 53.9% | 60.0% |
令和4年度 | 57.1% | 59.0% |
また、IT分野実践コースの職業訓練の就職実績は59.0%です。職業訓練を受けた人のうち、約6割の人は就職できています。ただし、逆に言えば4割以上の人は就職できていません。職業訓練に通えば就職できると安易に考えるのは危険だと言えるでしょう。
職業訓練校卒業生の就職先として多いのは、Web制作会社やハードウェア製造会社です。また、SESと呼ばれるエンジニア派遣会社に就職する方も多くいます。
必ずしも卒業後すぐに希望の職種に就職できるとは限りませんが、就職した会社でスキルアップし、転職することも視野に入れておくとよいでしょう。
繰り返しになりますが、IT分野実践コース職業訓練の就職実績は59.0%と、高いとは言えない就職率です。
IT系の職業訓練校に通い、ハローワークと連携した職業訓練を受けたとしても、それだけで就職できるとは考えない方が良いでしょう。さらに、職業訓練を受けた人全体の就職率も、平成時代の後半から令和にかけて右肩下がりになっており、今後はますます厳しくなることも考えられます。
確実に就職するためには、ハローワークを通した活動だけでなく、自分自身で別の方法も探して就職活動を進めなければなりません。
とはいえ、完全未経験からプログラミング学習を進めつつ、並行して就職活動を行うのは簡単ではありません。
弊社が運営する完全無料のプログラマカレッジでは、プログラミングスキルを学べるだけでなく、履歴書・職務経歴書の添削や求人紹介、面接対策などの就職活動サポートを受けられます。
就職率は98.3%と高く、完全未経験の状態でプログラマカレッジを受講し、ITエンジニアへの転職に成功する方も多くいます。未経験からITエンジニアを目指している方は、ぜひ一度オンライン説明会にご参加ください。
それぞれ、詳しく解説します。
プログラミングスクールに通うと、数十万円の費用がかかることも少なくありません。しかし、職業訓練であれば、受講料無料でスキルを習得できます。教科書代は支払わなければならないため完全に無料ではありませんが、高額なプログラミングスクールと比較すると非常に安い費用で受講できます。
公共職業訓練や求職者支援訓練に通うと、給付金や手当を受け取れます。雇用保険の対象となっているかいないかで、受け取れる給付金や手当に違いがあります。受け取れる給付金や手当の違いは、次の通りです。
雇用保険の対象となっている場合 | 基本手当:離職前の賃金に応じて支給額が異なる 受講手当:日額500円 通所手当:通所方法によって支給額が異なる |
---|---|
雇用保険の対象となっていない場合 | 職業訓練受講給付金:月額10万円 通所手当:通所方法によって支給額が異なる |
受講手当と通所手当には上限があります。求職中は給与がゼロになってしまうため、生活費や先行きを心配して、出費を抑えたいと考える人もいるでしょう。職業訓練を受けている場合、雇用保険の給付が訓練終了まで延長されます(最長2年間)。また、雇用保険の対象となっていない場合でも、条件を満たせば職業訓練受講給付金を受け取れます。
給付金や手当についての詳細は、公式サイトで確認してください。
▶ 公式サイト:就職支援・給付金などについて知る|厚生労働省
未経験OKと書かれた求人を見たことがある人もいるかもしれませんが、未経験OKとは業界で働いた経験がなくても良いという意味で、まったくスキルがなくても良いという意味ではありません。
今まで学んだことがない分野は、いくら未経験OKとなっていても、採用されるのは難しいでしょう。しかし、職業訓練でスキルを身につければ、他業種からの転職も目指せる可能性があります。
IT業界では、資格があればスキルの証明として利用できます。特に未経験者の場合は実績がないため、就職活動前に資格を取得してスキルを示すのが有効です。
職業訓練校に通って目指せる資格の例は次の通りです。
仕事をしている間は規則正しいリズムで生活できている人でも、会社に行かなければならないという強制力がないと、生活リズムが乱れてしまうことも少なくありません。
一度生活リズムが乱れてしまうと、就職が決まってまた規則正しい生活に戻ったときに、必要以上に負担を感じる可能性があります。また、生活リズムの乱れは心身の不調の原因にもなります。
以下で詳しく解説します。
応募者数が定員を上回る場合には、選考を通過しなければ訓練を受講できません。具体的な分野別の倍率は次の通りです。
分野 | 応募倍率 |
---|---|
IT | 1.13 |
営業・販売・事務 | 0.94 |
医療事務 | 0.87 |
介護・医療・福祉 | 0.72 |
デザイン | 1.45 |
理容・美容 | 1.15 |
その他 | 1.18 |
ITはデザインや美容と並ぶ人気分野のひとつで、介護や医療事務などの分野と比べると倍率が高い傾向にあります。また、上記はあくまでも全体の倍率であり、地域やコースによってはさらに高い倍率となる場合もあります。
倍率が高い場合には、面接や試験を突破しなければなりません。IT分野の職業訓練は、事前の入校試験で落ちてしまうリスクがあることを知っておきましょう。
職業訓練校は、通えば必ず就職できる施設ではありません。就職先の紹介は受けられますが、就職できる保証があるわけではないので、自分自身でも就職活動を進める必要があります。
また、IT系の職業訓練を受けたからといって、必ずしもIT関連の企業や職種に就職できるわけでもありません。スキルがあれば就職できるわけではなく、IT関連企業でもほかの企業と同様に、書類選考や面接などを通過しなければ、就職できないためです。
職業訓練校では、申し込みから受講までの間に時間がかかります。前述の通り選考が行われ、合格発表が行われてからの受講開始となるためです。
受講開始まで数ヶ月程度の時間が必要になることも珍しくないため、いち早くスキルを身につけたい状況では、待ち時間が長いと感じられるでしょう。
訓練校での受講期間は、最低3ヶ月、長期のコースでは2年程度になる場合もあります。その間先述の手当や給付金は受け取れますが、前職の給与よりも受け取れる金額は少なくなります。
職業訓練受講給付金には、支給要件があります。受給するためには、次の要件をすべて満たさなければなりません。
• 本人の収入が月8万円以下
• 世帯全体の収入が月30万円以下
• 世帯全体の金融資産が300万円以下
• 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
• 全ての訓練実施日に出席している
• 世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
• 過去3年以内に、不正行為により特定の給付金の支給を受けたことがない
• 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けていない
さらに、職業訓練給付金が支給されるのは特定求職者の方のみです。特定求職者とは、次の条件を満たす人のことを指します。
• ハローワークに求職の申し込みをしていること
• 雇用保険被保険者や雇用保険受給者でないこと
• 労働の意思と能力があること
• 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワーク所長が認めたこと
また、1ヶ月に1回はハローワークに訪れて職業相談を行うとともに、給付金の申請をする必要があります。
自分が職業訓練受講給付金の対象となるかどうかわからない場合には、早めにハローワークの窓口で相談しておきましょう。
ハローワークの求人には、いわゆるブラック企業と言われる求人も多く掲載されています。もちろん、すべてがブラックというわけではありません。しかし、ハローワークは無料で求人情報を掲載できることに加えて、審査も厳しくないため、どんな企業でも求人を掲載しやすいのです。
資金繰りが厳しい企業や、経営が不安定な企業でも、求人広告の費用をかけずに人材を募集できます。ハローワークで就職先を探す際には、いつも以上に注意して応募先を探さなければなりません。
職業訓練校に通っている間は、いくら勉強をしても実務経験としてはカウントされません。また、職業訓練校で学べるスキルはごく基本的なレベルのものです。
そのため、求人を探して応募しても、他に実務経験のある応募者がいると、経歴が見劣りしてしまいます。スキルを習得したとしても、経験者より不利な状況で戦わなければなりません。
訓練校やコースによって、授業の質やレベルには違いがあります。講師の質によっては、多くの受講生が授業だけでは理解できないまま、時間だけが過ぎてしまうこともあります。
また、一緒に学ぶ受講生のスキルレベルも重要です。受講生のスキルレベルが低い場合、理解できる内容で授業を進めようとすると、どうしても難易度が下がってしまいます。
ここでは、就職が決まる半分の人がどんなことに取り組んでいるか紹介します。訓練校に通うだけでなく、積極的に行動することで就職率を高められますよ。
就職率を高めるためには、希望の職種を目指せる受講内容のコースを選びましょう。例えば同じIT系の職種であっても、システムエンジニアを希望しているにも関わらず、Webデザインの基礎を学んだのでは、就職できる確率を高められません。
また、評価の良い訓練校を選ぶことも重要です。評価の良い訓練校では、質の高い授業を受けられる可能性が高いためです。
プログラミング言語には、複数の種類があります。訓練校では、需要が高いプログラミング言語を学びましょう。需要が高いプログラミング言語は、求人件数も多いため就職できる可能性が高まります。
また、需要の低いプログラミング言語は、求人が少ないだけでなく、新しい技術におされて使用頻度が低くなることも考えられます。そのため、訓練校で最初に習得するプログラミング言語は、需要が高いものを選ぶのがおすすめです。
訓練校に通った人のうち半分程度しか就職できないということは、少なくともクラスの上位半分に入っていなければ、就職できる可能性は低いといえます。訓練校で学習しただけで満足するのではなく、自分でも学習を進めましょう。
予習・復習を行えば、訓練校で学習した内容の理解が深まります。また、資格取得に向けて学習するのもおすすめです。
訓練校に通いながら、転職エージェントを併用して就職活動を進めるのも良いでしょう。転職エージェントは、自分の希望やスキルに合わせて適切な企業を紹介してくれます。
また、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などのサービスもあるため、万全の状態で就職活動を進められます。未経験の業界では、知識不足で転職活動が難航してしまうことも珍しくありません。そんなとき、転職エージェントは強い味方になってくれます。
転職エージェントの詳しい解説や、利用するメリットは以下の記事で解説していますのでぜひご覧ください。
プログラマカレッジ卒業生の声
二瓶さん
プログラマカレッジ卒業生の声
松村さん
受講の目安は、おおむね3ヶ月程度です。長期の場合には、1〜2年程度かかるものもあります。また、申し込んですぐに受講できるわけではなく、受講開始までに数ヶ月かかる場合もあります。
職業訓練校での訓練は、受講期間そのものだけでなく開始までの待ち時間が長くなりがちなことを知っておきましょう。
手当や給付金を受け取りながら学べるのが職業訓練校のメリットではありますが、生活に十分な金額を受け取れるとは限りません。
すぐに受講し、早めに就職したい場合には民間スクールの利用も検討してください。例えば、弊社で運営しているプログラマカレッジの場合、説明会当日からでも受講可能です。受講料は無料です。
職業訓練は、ハローワークで求職申込をしており「働きたい」という意思があれば誰でも受講できます。原則として年齢制限はありません。
ただし職業訓練にも色々なコースがあり、希望するコースを必ず受講できるとは限りません。倍率が高いコースでは筆記試験や面接での選考が行われることが多く、選考で落ちることもあります。
高校卒業や大学卒業のような学歴には該当しないため、履歴書では「職歴」の箇所に記すと良いでしょう。
プログラミング経験がなくてもIT系の職業訓練は受講可能です。ただし、IT系のコースは倍率が高いため、選考を通過しなければなりません。
また、職業訓練校でも就職先の紹介はありますが、就職率は高くない点にも注意が必要です。就職率を重視するのであれば、民間のスクールを選ぶのがおすすめです。
職業訓練校では、手当や給付金を受けながらIT系の訓練を受講可能です。ただし、IT系は職業訓練の中でも人気があり倍率が高いため、選考が行われる可能性が高く、確実に受講できるとは限りません。
また、受講期間や受講開始までの待ち時間が長い点も、職業訓練校のデメリットです。早期の就職を目指すのであれば、民間スクールの活用も検討しましょう。
この記事が、職業訓練校を受講したい方の参考になれば幸いです。
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