ネットワークスペシャリスト試験の難易度を、合格率や他の資格との比較をもとに解説。さらに取得に向けた対策法も解説します。効果的な学習方法を知り、ネットワークスペシャリスト資格の取得を目指しましょう。
なお、未経験からインフラエンジニアを目指したい方には、無料のITスクールプログラマカレッジがおすすめです。
最終更新日:2025年5月22日
目次
ネットワークスペシャリスト試験(NE)とは、情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験です。難易度別にレベルが4段階あり、ネットワークスペシャリスト試験は最も難しいレベル4(高度区分試験)に設定されています。
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークエンジニアなどのITインフラを扱うエンジニアの方におすすめの試験です。
ネットワークスペシャリスト試験の難易度はどの程度なのでしょうか。情報処理技術者試験内での位置づけや合格率から詳しく解説します。
ネットワークスペシャリスト試験は、ITスキル標準(ITSS)のレベル4に位置づけられている資格です。
ITスキル標準とは、高度なIT知識や技能を有する人材を育成するために定められたスキル体系のことです。経済産業省によって定められました。
基本情報技術者がレベル2、応用情報技術者がレベル3とされているため、それよりもさらに難易度の高い資格だといえるでしょう。
さらに、レベル4はシスコ技術者認定試験の最難関資格「CCIE」に相当します。
資格試験の難易度を確認する時には、ITスキル標準も参考にしてみるとよいでしょう。
参考:ITスキル標準とは -キャリアフレームワーク|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
情報処理技術者試験の各区分の合格率は次の通りです。なお、シスコ技術者認定試験の合格率は、2025年時点で公表されていません。
ITパスポート | 基本情報技術者 | 応用情報技術者 | ネットワーク スペシャリスト |
|
---|---|---|---|---|
令和5年度 (2021年) |
50.3% | 47.1% | 25.2% | 14.3% |
令和6年度 (2022年) |
49.1% | 40.8% | 26.1% | 15.4% |
ネットワークスペシャリスト試験の合格率は例年15%前後で推移しており、難易度の高い試験であることがわかります。
※応用情報技術者の合格率は春季と秋季の平均値を記載しています。
ネットワークスペシャリスト試験の難易度が高い主な理由は次のとおりです。
• 出題範囲の広さと深さ
基礎的なネットワーク知識から最新技術まで、幅広く深い知識が求められます。
• 実践的な問題解決能力
午後試験では、実務に即した複雑な状況を分析し、適切な解決策を提示する能力が問われます。
• 記述式問題の難しさ
午後試験は記述式であり、単なる知識の暗記だけでなく、論理的思考力や文章構成能力も必要です。
• 長時間の集中力
約6時間半という長時間の試験のため、体力と集中力の維持も重要な要素となります。
合格には、ネットワークに関する幅広い知識が求められます。
これらの知識を体系的に理解し、応用できるレベルまで習得する必要があります。
ネットワークスペシャリスト試験の取得に必要な学習時間は、すでに持っているIT知識によって大きく変わります。
また、必要な学習時間について調べると、50〜1,000時間と、調査対象によって差があることがわかります。
おおむね半年から1年程度の期間を見込んだうえで、事前に必要な学習の内容を確認し、スケジュールを立ててから計画的に学習を進めていくとよいでしょう。
実際に合格者が発信していた内容を、SNSからピックアップしました。
R6春は下記勉強を実施しましたが、過去の積み重ねがあったので復習にかかる時間をR4受験時の3分の1以下に抑えられており、そのため例年より過去問の量をこなすことができました
▸ 出典:note
こちらの方は、3回目の受験でネットワークスペシャリスト試験に合格しています。このように、合格まで複数回受験をする方もいます。
基本情報は3ヶ月勉強して一発で合格し、その数ヶ月後、ソフ開にも一発で合格し。
その2年後ぐらいだったかな。データベーススペシャリストにも一発で合格した。
ネットワークスペシャリストは3回目ぐらいで合格したかな。あれは本当に難しかった。
▸ 出典: X
こちらの方のように、他の資格は1回で合格してる方でも、複数回受験している場合もあります。
合格までには、学習時間をしっかり確保する必要があるといえるでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験の難易度は、他の資格と比べてどのようなものなのでしょうか。ITの全般的な知識を問う資格や、ネットワーク系の資格と比較して解説します。
基本情報技術者/応用情報技術者は、ITエンジニアとしての基礎知識を問う試験であるのに対し、ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークに関する専門的な知識・スキルを問う試験です。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験と比較すると、ネットワークスペシャリスト試験は以下の点で難易度が高くなっています。
• 知識の専門性
基本情報・応用情報がIT全般の幅広い知識を問うのに対し、ネットワークスペシャリスト試験はネットワーク分野に特化した専門的かつ深い知識が必要
• 問題形式
基本情報・応用情報が主に選択式であるのに対し、ネットワークスペシャリスト試験は記述式の比重が大きく、より深い理解と表現力が求められる
• 実務経験の重要性
基本情報・応用情報は学生でも十分合格可能ですが、ネットワークスペシャリスト試験は実務経験がある方が有利な内容
CCNA/CCNPは、シスコシステムズが認定するネットワークエンジニア向けの資格です。ネットワークスペシャリスト試験はベンダーに依存しない汎用的な知識と設計能力を問うのに対し、CCNA/CCNPはシスコ製品の具体的な設定や運用スキルを問う点が異なります。
ネットワークスペシャリスト試験と比較すると、CCNAは基礎レベル、CCNPは中級レベルに相当すると言えるでしょう。ネットワークスペシャリスト試験は、CCNPよりもさらに高度な知識・スキルが求められます。
シスコ技術者認定試験の最上位資格であるCCIEについては、同じレベル4でもネットワークスペシャリスト試験より難度の高い試験です。理由は、CCIEに合格するためには豊富な実務経験が必要であるためです。CCIEには、ラボ試験と呼ばれる実機を使った長時間の実技試験があります。さらにCCIEは筆記・実技共に試験が英語で実施されるため、英語が得意でない方の場合は、さらに難度が跳ね上がる可能性があると言えるでしょう。
ちなみにネットワークスペシャリスト試験については、ネットワークエンジニアの実務経験がなくても合格が可能です。筆者の知人の事例では、業務システムの設計をメインで行っていたシステムエンジニアが、半年間の参考書独学でネットワークスペシャリスト試験に合格したケースがあります。
とはいえネットワークスペシャリスト試験に合格するには、深いIT知識が必要です。ネットワークを学びたい初心者の方は、まずCCNAなどから勉強を始めてみることがおすすめです。
LinuC/LPICは、どちらもLinuxに関する知識を問う資格です。ネットワークだけでなく、セキュリティやサーバについての知識も必要です。それに対してネットワークスペシャリストは、ネットワークの専門的な知識を問われます。
LinuCは、4段階の難易度に分かれています。ITSSでいうとLinuCシステムアーキテクトがITSSのレベル4相当、ネットワークスペシャリスト試験がレベル4相当なので、LinuCシステムアーキテクトとネットワークスペシャリスト試験はおよそ同等のスキルレベルと言えるでしょう。
LPICは、レベル1から3の3段階の難易度に分かれています。LPICはレベル3がITSSのレベル3相当であるため、ネットワークスペシャリスト試験の方が難易度が高いといえます。
ネットワークスペシャリスト試験に合格するためには、どのように学習を進めたらよいのでしょうか。ここからは、ネットワークスペシャリスト試験合格のための効果的な勉強法を解説します。
参考書や問題集を使って学習する際には、まず基礎知識の習得に時間をかけましょう。分野ごとに、チェックテストを行うなど理解度を確認しながら進めてください。
基礎知識の学習を終えたら、過去問演習を実施して実践力を養います。苦手分野を重点的に復習することで、効率よく合格に近づけます。
おすすめの書籍・問題集は次の3冊です。
書籍タイトル | 主な特徴 | 価格 |
---|---|---|
徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書 令和7年度 徹底攻略シリーズ![]() |
基礎から応用まで体系的に学べる | 3,190円 |
極選分析 ネットワークスペシャリスト 予想問題集 第3版 (予想問題集シリーズ)![]() |
実践的な問題演習ができる | 3,520円 |
2025-2026 ネットワークスペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策 重点対策書シリーズ![]() |
午後問題対策に特化 | 4,070円 |
過去問を使って学習する際には、繰り返し解くことが重要です。
ネットワークスペシャリスト試験は、午後に記述式の試験が行われます。そのため、知識をつけるだけでなく、わかりやすく伝える力も鍛えておかなければなりません。
過去問を学習することで、問題の傾向や解答の書き方も身に付きます。過去10年分くらいはチャレンジし、高い正答率を出せるようにしておきましょう。
過去問は、IPAの公式サイトや過去問道場で閲覧できます。
▶ 問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2025年度、令和7年度)|IPA
▶ ネットワークスペシャリスト過去問道場
未経験からネットワークスペシャリスト試験の取得を目指す場合、まず先に基本情報技術者や応用情報技術者の資格取得を目指してみるとよいでしょう。
これらの資格に必要な学習をする中で、IT関連の幅広い知識を網羅的・体系的に身につけられます。さらに、自分がITに向いているかを見極めるのにも役立ちます。
合格すれば自信につながるため、まずは基本情報技術者の取得から目指してみてください。
学習のために、オンライン講座やスクールを活用するのもおすすめです。
オンライン講座やスクールでは、合格のために必要な知識を効率の良いカリキュラムで学習を進められます。
また、試験対策のスケジューリングや、学習の進め方についてアドバイスを受けられるのもメリットといえるでしょう。
「人の目がないと学習に集中できない」という方にも、スクールの活用が適しています。
学習のモチベーションを維持するためには、何よりも目標設定が重要です。合格したら何がしたいのか、どのように資格を活かしたいのか考えてみましょう。
また、同じ目標を持つ仲間と交流することで、モチベーションを維持しやすくなります。SNSやエンジニア向けの交流サイトなどで、同様に学習している人を探してみてください。
さらに、適度な休息も重要です。適度に休息し、心身ともにリフレッシュすることで、モチベーションをキープできるでしょう。
合格者の中には、合格体験記やコラムを読むことでモチベーションを維持できたという人もいました。
合格体験記や筆者のコラムなども書いてあり、モチベアップにもつながる
▸ 出典:note
また、好きなもので息抜きし、モチベーションを維持しながら学習した人もいます。
ネットワークスペシャリスト1発合格したぞぉー!!!🥳🥳
ウマ娘映画のおかげでモチベ保ててたからCygamesにはまじで感謝🙏
▸ 出典: X
学習は何よりも継続が重要です。自分なりにモチベーションを上げられる方法を見つけ、学習を続けられる環境を作りましょう。
難易度が高く合格率が低いネットワークスペシャリスト試験ですが、何が難しいのでしょうか。ここでは、ネットワークスペシャリスト試験の難所を解説します。
それぞれの難しいポイントを以下でまとめました。
■ 午前Ⅰ
・広範囲にわたるIT基礎知識が問われるため、不得意分野があると点数を落としやすい
・応用情報技術者試験合格者は免除されるため、まずは応用情報技術者試験の合格を目指すのも一つの戦略
■ 午前Ⅱ
・ネットワーク専門知識の深さが試される
・特に以下の分野が難しいとされています
▸ プロトコルの詳細な仕様
▸ ネットワークのパフォーマンス計算
▸ セキュリティ技術の最新動向
▸ 仮想化技術やクラウド関連技術
それぞれの苦戦する分野は次の通りです。
■ 午後Ⅰ
・実務に即した複雑な状況設定での問題解決能力が問われる
・特に苦戦しやすい分野
▸ ネットワーク設計における要件定義と設計の整合性
▸ トラブルシューティングの論理的思考プロセス
▸ 性能評価や容量設計の計算問題
■ 午後Ⅱ
・多くの受験者が最も苦戦する部分
・主な難所
▸ 長文の状況設定を正確に理解する読解力
▸ 複数の要件を満たす最適解を導き出す総合的判断力
▸ 限られた時間内での解答作成と見直し
▸ 専門知識を分かりやすく説明する表現力
ネットワークスペシャリスト試験は、実務経験がある方とない方では体感難易度に大きな差があります。
■ 実務経験がある場合
・実際のネットワーク構築や運用の経験が、特に午後試験での問題解決に直結
・実際の現場で遭遇した課題との類似点を見出しやすく、解決策も考えやすい
・実機での設定経験があると、細かい設定項目や挙動の理解が深まる
■ 実務経験がない場合
・座学だけでは理解しにくい実践的な内容が多い
・特に午後Ⅱでは、実務経験がないと状況の想像が難しく、適切な解決策を導き出せないことも
・独学の場合、実機演習や仮想環境での擬似体験を積極的に取り入れることが重要
・実務経験3年以上ある方と未経験者では、同じ学習時間をかけても合格率に2~3倍の差が出るというデータもあります。
ネットワークスペシャリスト試験では、解答を十数文字程度の短文に的確にまとめる力が重要です。同じ高度区分であるプロジェクトマネージャ試験ほどの長文を書く必要はありませんが、日頃から文章をまとめる練習をしておくことがおすすめです。
ネットワークスペシャリスト試験合格を目指す人に良くある質問にプログラマカレッジキャリアアドバイザーが回答します。
アドバイザー
プログラマカレッジ講師(元エンジニア) 江畠翔太
私自身、プログラミングを試行錯誤しながら学習してきました。その経験から ”どこでつまづくのか” ”どのような説明があればその時理解できたか” ということについて、客観的に把握できていると思います。皆様の「プログラミングを学びたい」という気持ちに精一杯応えていきますので、これから一緒に頑張っていきましょう。よろしくお願いいたします。
• 設計・構築
ネットワーク要件に基づいた構成の企画・設計、機器設定・構築
• 運用・保守
ネットワークパフォーマンス監視、障害対応、セキュリティ対策
• 最新技術
クラウド、IoT、SDNなどの導入検討・実装
• 役割
安定かつ安全なネットワーク環境の維持、ビジネス貢献
• 主な職種
ネットワークエンジニア、ネットワーク管理者
• キャリアアップ
プロジェクトリーダー、ネットワークアーキテクト
• 専門分野
セキュリティエンジニア、セキュリティコンサルタント
• 新領域
クラウド、IoT、SDN関連の専門家
• その他
フリーランスのエンジニア・コンサルタント
■ おすすめな人
・実務経験3年以上のネットワークエンジニア
・高度なネットワーク技術に強い興味・学習意欲がある
・将来的にネットワークの設計・構築に携わりたい
・キャリアアップを目指したい
・TCP/IPプロトコルに関する深い知識を持っている
・論理的思考力・問題解決能力・コミュニケーション能力を向上させたい
■ おすすめでない人
・ネットワーク技術に興味がない
・他の情報処理技術者試験に魅力を感じる
・資格取得が目的で具体的なキャリアプランがない
・明確な目標意識・継続的な学習意欲がない
ネットワークスペシャリストの資格取得は、年収アップに繋がる可能性があります。資格手当や昇給だけでなく、より高度なプロジェクトや役割に挑戦できるようになることで、キャリアアップと年収アップを実現できます。
例えばIT企業の場合、資格手当が月額5,000円~20,000円程度付くケースがあったり、転職時の交渉力が高まり希望年収を得やすくなるといったメリットも期待できるでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。受験申込みはインターネットから行います。IPAの公式サイトにある「受験申込み」ページから手続きを進めましょう。
試験は年1回、春期に筆記形式で実施されます。受験料は7,500円(税込)です。クレジットカード、ペイジー、コンビニ払いなどが選択できます。試験日程や申込み期間はIPAの公式サイトで必ず確認しましょう。
ネットワークスペシャリストは、非常に難易度の高い資格です。持っている知識や経験によって、取得までに必要な学習時間が大きく異なります。
合格率は低く、何度も受験している人も少なくありません。
未経験から受験するのであれば、まず基本情報技術者や応用情報技術者など、ITの基礎知識を網羅的に学べる資格から取得を目指すのがよいでしょう。
もしあなたが「インフラエンジニアとして就職したいから、ネットワークスペシャリスト資格の合格を目指していたけど、独学では難しそう…」と考えているのなら、無料で学べるITスクール「プログラマカレッジ」のクラウドエンジニアコースもおすすめです!
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