みなさんは、大学へ進学するときに、将来の就職先を考えていましたか?
夢に向かって学部を決めた人もいれば、理系科目が得意だったからとりあえず理系学部に進学したという人もいるのではないでしょうか?
これから就職先を決めていく場合、自分の長所や短所を自己分析した上で、業界研究や企業研究を行い、自分が興味のある仕事を探していくことから、就職活動が始まります。
この記事では、これから就職活動を行う理系学生にとって少しでもヒントとなるよう、理系に向いている仕事を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
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最終更新日:2023年9月11日
目次
よく理系の方が文系に比べ就職に有利といわれますが、実際のところ、就職率に大きな変わりはありません。
文部科学省が行った大学等卒業者の就職状況調査によれば、文系の就職率97.8%に対し、理系の就職率は98.5%となっています。
出典:令和元年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)|文部科学省
理系が就職に有利といわれるのは、なぜでしょうか?
考えられる理由として、理系だけの採用を行う求人や、学部内推薦などで早期に就職が決まるといった、理系特有の就職事情が挙げられます。理系の専攻分野で学んだ知識は、文系よりも専門職の仕事に直結しやすく、これらの就職事情に影響を与えていることが考えられます。
研究開発に関わる仕事など、一部の専門職では、特定の理系学部を卒業していることを、採用条件としているケースがあります。
【専門職の例】
全学科対象求人への応募だけでなく、専門職求人へも応募ができる点において、理系出身者は、文系出身者よりも就職先の選択肢が広いといえます。
理系だからといって、専攻分野の専門職にこだわる必要はありません。
専門職に限定することで、業界研究や企業研究は行いやすくなりますが、せっかくの選択肢の広さを、自ら狭めてしまうデメリットにつながります。
営業職や事務職など、全学科対象の職種で活躍している理系出身者も多くいますので、視野は広く持っておきましょう。
ただし、専門外の分野へ就職する場合は、志望動機を明確にしておく必要があります。
「なぜ専門分野に進まなかったのか?」という疑問に対し、エントリー企業への志望動機をもって、答えられる準備が必要です。
ここからは、理系の長所とそれを活かせる仕事について考えてみましょう。
就職活動で、自己分析や業界研究をする際の参考にしてください。
理系の長所として、最もイメージしやすいのは、専門性ではないでしょうか。
専門職であれば、学んできた知識や技術自体が、採用企業への大きなアピールポイントとなります。また、もともと興味を持って勉強を始めた分野ですので、そのまま志望動機に直結するかもしれません。
専門職に必要な、ひとつの分野を追求していく姿勢も、理系タイプの人は長けていることが多いでしょう。
理系の研究では、常に「問題提起」「仮説」「実験・検証」「結果分析」「改善」というPDCAサイクルを繰り返しています。
順序立てて物事の課題を改善していく論知的思考は、ビジネス上でも重要な能力です。
たとえば、トライ&エラーを繰り返すシステム開発やプログラミング。製品の問題を早期に見つけ出し改良を行う品質管理。また、理系の専門分野に限らなくとも、顧客の課題を分析し、改善策を提案できる能力は、営業やコンサルタントなど、多方面の職種で活かせる強みとなります。
数値やデータの分析は、理系学生が扱う機会の多い作業です。数値やデータを専門に扱う仕事として、データサイエンティストや金融アナリストなどが挙げられますが、一般的な仕事でも活かすことができます。
たとえば、企業の財務管理は、様々な部署から集まる経理データを分析する能力が求められます。人事や労務管理、経営企画といった仕事では、作業効率の改善などに数値の分析が用いられます。数値・データの分析が得意であれば、幅広い仕事で活用できます。
▶ 参考:データサイエンティストフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
理系向きの仕事をもっとよく知るため、理系出身者の就職先として考えられる仕事を、学部別に見ていきましょう。教育機関によって学部名称が異なるかもしれませんが、一般的な5つの学部について紹介します。
◆ メーカー
製造メーカーは、学んだ知識を活かせる仕事に就きたい理系学生にとって人気の就職先です。職種も幅広くあり、研究開発だけでなく、品質管理や生産管理、専門性の高い提案を行う営業などに、専門性を活かすことができます。
たとえば、化学系学科であれば化学系・化粧品・製薬メーカー、物理系学科であれば電機・半導体・ 医療機器メーカーなどが挙げられます。
◆ 金融専門職
金融業界は一般的に文系のイメージを持つ方もいると思いますが、アクチュアリーや金融アナリスト、ファンドマネージャーといった金融専門職は、理系出身者も活躍されています。投資や金融商品の開発などにおいては、統計学の知識や分析力、論理的思考力が求められるケースもあるため、理系色の強い仕事と言えるでしょう。
◆ ITエンジニア
ITエンジニアには、実際の開発作業を行うプログラマーやマネジメント業務を行うシステムエンジニア、サーバー構築などを行うインフラエンジニアなどの幅広い職種があります。
▶ 参考:フルスタックエンジニアフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
国家公務員や地方公務員には、各省庁の専門分野や、地方の研究機関などに勤務する技術系公務員と呼ばれる専門職があり、理系の専門性が活かせる、ひとつの選択肢となっています。
理学部からは、環境庁や水質管理の部署などに就職するケースがあります。
また、専門分野の科目で教師になることもできます。
◆ メーカー
工学部からは、機械技術を活かして、自動車や電気機器・機械など製造メーカーへの就職というのも選択肢の一つです。開発設計や生産管理、製品のメンテナンスや故障の修理を手掛けるサービスエンジニアとして活躍することもできます。
◆ プラントエンジニア
工場や生産設備の設計や製造、メンテナンスなどを請け負う仕事です。扱う対象が大規模であるため、機械系や電気系、化学系・土木系など、理系各分野のプロフェッショナルが協力して、業務に取り組んでいます。
◆ 整備士
機械技術を活かす仕事として、整備士も挙げられます。自動車整備工場やカーディーラーへの就職がありますが、バス、トラック、電車、航空機など、あらゆる輸送機を扱う企業も整備士を必要としています。
◆ ITエンジニア、ITコンサルタント
情報通信系学科は専門が明確であり、IT業界への就職を目指す人は多いです。ITエンジニア以外にも、IT技術を使って企業の課題を解決する、ITコンサルタントといった仕事もあります。
▶ 参考:
• フルスタックエンジニアフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
• ITコンサルタントフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
◆ 公務員、教師
工学部からは、研究機関や公共施設設備の保守を行う部署などが選択肢の一つとしてあります。また、専門分野の科目で教師になるという選択肢もあります。
◆ メーカー
食品・農業などのバイオ技術を学んだ学生には、食品系・化粧品メーカーなどが人気です。品種改良などの栽培技術を学んでいれば、種苗メーカーへ就職される方もいます。
◆ JA職員
JAには金融部署だけはなく、農畜産物を扱う部署があります。農学や畜産学を活かした農家への営農指導、肥料や飼料・農薬の販売、農畜産物の加工や営業といった仕事があります。
◆ 大規模ファーム
企業などが経営する農園や牧場への就職です。現場の作業だけでなく、農業の経営や政策などの知識を活かし、生産管理や営業などの仕事に従事するケースもあります。
◆ 動物園の飼育員
動物の扱いや動物看護の専門性を活かすことで、動物園や水族館の飼育員として働くことも考えられます。公立の動物園や水族館は、公務員としての募集が多くなっています。
◆ 公務員、教師
農学部からは、研究機関や農林水産に関する部署などに就職しています。
また、専門分野で教師になるという選択肢もあります。
◆ 設計士
建築系学科からは、意匠・構造・設備の専門性を活かした設計士として、設計事務所やゼネコン、ハウスメーカー、工務店などへの就職が人気です。
◆ インテリアデザイナー
デザインへの興味が深ければ、内装設計に特化したインテリアデザイナーも人気の職種です。就職先として、設計事務所やハウスメーカー、家具メーカーなどの企業があります。
◆ 建築施工管理、土木施工管理
実際に構造物ができあがっていく現場に携わりたいのであれば、施工管理士という仕事もあります。建築・建設工事の現場監督として、作業員に指示を出し、工事現場の安全・品質・工程管理を行っていく仕事です。国家資格が必要であり、需要が高い職種です。
◆ 公務員
土木系学科からは、国土交通省や土木工事を管理発注する部署などに就職しています。
◆ メーカー(研究員、MR)
薬学系学科であれば、製薬メーカーが人気です。
専門知識を活かして、研究員だけでなく、営業や広報の仕事を行うMRとして活躍することもできます。
◆ 薬剤師
薬学系学科で国家資格を取得することで、医療施設への常駐や調剤薬局、ドラッグストアへ薬剤師として就職できます。
◆ 医療従事者
医師や医療技師、看護師・介護士などの医療従事者として、病院などの医療施設へ勤務します。
◆ 公務員
厚生労働省や公衆衛生医師・監察医など、医学部から公務員となるケースもあります。
次は、マイナビと日本経済新聞社が、共同で毎年調査している『大学生就職企業人気ランキング』の理系総合カテゴリーを参考に、理系出身者が実際にエントリーしている企業の特徴を見てみましょう。
第1位 | ソニー |
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第2位 | 味の素 |
第3位 | 富士通 |
第4位 | サントリーグループ |
第5位 | トヨタ自動車 |
出典: 2021年卒 大学生就職企業人気ランキング|マイナビ2021
電機・食品・通信技術・飲料・自動車と、すべて大手メーカーが占める結果となりました。理系学生にとって、専門分野を活かせるメーカーは、やはり魅力的な就職先のようです。
また、これらの大手メーカーに共通する特徴として、ひとつの企業の採用でも、幅広い職種の募集がある点が挙げられます。研究開発だけでも、他分野の研究を行っているケースが多く、1位のソニーを見ると、「ソフトウェア・信号/情報処理」「メカ・メカトロニクス」「半導体・デバイス・材料」「電気」「光学」「品質・環境・調達」「ライフサイエンス」「コーポレート機能(技術)」「R&D WILL」の9分類で募集が行われています。
大手メーカーに限らず、主力商品の関連分野として、意外な専門職があったりしますので、企業のイメージにとらわれずに企業研究を行うようにしましょう。
就職先を選ぶなら、もちろん年収も気になるポイントですよね。
専門的な知識や技術が必要な仕事は、高収入につながることが多く、理系の専門性を活かせば、給料の高い仕事に就けるチャンスは多くなります。
マイナビが全312の職種を比較したモデル年収ランキングでは、理系向きの仕事(研究職やIT業界、投資や金融商品の開発)が上位10位以内に7つランクインしています。
特に、IT業界は、1位:システムアナリスト、4位:情報アーキテクト・UI/ULデザイナー、5位:ITアーキテクト、7位:システムコンサルタント(業務系)と4つの職種がランクインしており、専門性を深めれば高収入につながる業界であることがうかがえます。
出典:2020年版 職種別 モデル年収平均ランキング|マイナビ転職
理系学生が就職先を考えるとき、専門性が必要な仕事を選べることは大きなメリットです。
業界や企業の研究をしっかり行い、仕事内容の理解を深めておきましょう。専門職には、研究開発以外にも多くの仕事があります。ひとつの企業の中で求められる専門分野が幅広く分けられていることもあります。
また、営業や事務職といった文系のイメージがある仕事にも、理系の長所は活かされます。先入観で選択肢を狭めることなく、広い視野で就職活動を行ってみてください。
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