「Smalruby」とは、子どもを中心に精力的にRubyの普及活動を行っているNPO法人「Rubyプログラミング少年団」が提供する、小学3年生からやさしくRubyを学べるプログラミング学習ツールです。スポーツ少年団のプログラミング版をかかげる「Rubyプログラミング少年団」は、島根県松江市に本拠地を置き、小学生向けに無料のプログラミング教室などを開催しています。
Smalrubyはただブロックを組んで終わりのビジュアルプログラミング言語ではなく、実際のRubyプログラムのソースを表示する機能が搭載されています。子どもだけでなくこれからRubyを学びたいと考えている大人にも、おすすめのツールとなっています。
目次
サイトURL | http://smalruby.jp/ |
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対応する言語やスキル | ビジュアルプログラミング言語、Ruby |
利用料金 | 無料 |
教材タイプ | ダウンロード版(お試し用のブラウザ版もあり) |
対応レベル | プログラミング入門者 |
備考 | 日本語対応 |
Rubyは可読性を重視して開発された、オブジェクト指向型のスクリプト言語です。世界的に人気の高いプログラミング言語ですが、開発者が日本人であることから日本語のフォーラムやドキュメントが充実しており、日本人には特に親しみやすい言語としても人気があります。
そんなRubyの普及を目的として提供されているSmalrubyは、同じく教育用のビジュアルプログラミング言語である「Scratch」を学んできた子どもたちが抵抗なく移行できるようにと、ブロックを用いたインターフェースに準拠して作成されています。しかしそれだけではなく、ブロックで作成したプログラムを、文字で書かれたRubyのソースコードに変換して確認することもできるようになっています。
慣れてきたらRubyのソースコードを直接文字で書いてSmalruby用のライブラリを用いて動かすことも可能となっており、ビジュアルプログラミング言語からRubyプログラマへ無理なくステップアップできるよう工夫が凝らされています。
またSmalrubyでプログラミングを行うことで動かすことのできるSmalrubot(スモウルボット)というロボットもあり、Rubyプログラミング少年団のイベントで利用されています。
Smalrubyは完全にユーザ登録不要で利用可能です。これはお試し版ダウンロード版共で、ユーザ登録が不要な代わりに特に公式サイト上でアカウントに連動して作品を共有するコミュニティなどはありません。(ただしダウンロード版については、作成者を特定するためのユーザ名を入力してログインする機能もあります)
ユーザ登録や共有はありませんが、お試し版ダウンロード版共にプロジェクトの保存は可能です。ブラウザ版の場合、作成中のプロジェクトファイルは拡張子rbのルビーソースファイルとしてダウンロード保存ができるようになっています。ただしブラウザ版はそのまま実行ができないため、実行してみるにはダウンロードが必要になります。
まずRubyプログラミング少年団の公式サイトからzipファイルをダウンロードします。
画面中ほどの「スモウルビー・スモウルボット」の項目にある、「インストール」をクリックすると、GitHubのページに遷移します。
遷移先では初心者向けを意識され、Windows7および8.1の場合のインストール方法について写真付きでとても丁寧に解説されています。慣れた方向けに簡単にまとめると、ダウンロードしたファイルをCドライブ直下に解凍し、できたフォルダの中にある「run-smalruby.bat」をダブルクリックで起動するという流れになっています。
「インストール」の横にある「試す」をクリックすると、そのままSmalrubyの編集画面が表示されす。最終的にブラウザ上で動くところはダウンロード版と同じですが、実行ボタンがないという違いがあります。
お試し版での作業内容を保存したい場合は、画面右上にあるボックスにプロジェクト名を記入し、「ダウンロード」ボタンをクリックします。すると拡張子rbのRubyソースファイルとして保存することができます。
再度お試し版で続きから作業を行いたい場合は、「メニュー」ボタンをクリックします。メニュー内にある「ロード」をクリックして前回保存したファイルを読み込むと、前回の作業状態を呼び出すことができます。読み込んだ最初はソースコードになっているので、必要に応じて左上のタブでブロックに切り替えてご利用下さい。
ブラウザ版Smalrubyでは実行ができないため、今回はダウンロード版で詳しい使い方をご紹介したいと思います。
ダウンロード版のSmalrubyを起動すると、次のような画面が表示されます。お試し版とほぼ同じですが、右上の「ダウンロード」ボタンがなくなり、代わりに「実行」ボタンが配置されています。
画面右上にある「ブロック」と「Ruby」をそれぞれクリックすると、ビジュアルと文字の切り替えを行うことができます。
「Ruby」をクリックすると次のようにRubyのソースコードが表示され、そのまま編集することも可能です。
その下にある「キャラクター」の項目では、スクリプトで制御する対象を選択します。この部分はSmalruby専用の描画ライブラリが使用されているため、Rubyのコードを表示してもそのまま他所に移植することはできない部分になります。
キャラクターの右下にあるフォルダマークをクリックすると、入力エリアにそのキャラクターを対象として動作を指定するブロックが追加されます。さらにその下の「新しいキャラクター」をクリックすると、使用するキャラクターを追加することができます。
キャラクターの編集画面では、「決めた」をクリックすると元の画面に選択内容が反映されます。ブラウザのサイズを小さくしているとボタンが見えない場合がありますので、注意して下さい。
画面の中央にはキャラクターの動きやイベントを設定するための、スクリプトのブロックが用意されています。大きなカテゴリには「動き」「見た目」「音」「ペン」「データ」「イベント」「制御」「調べる」「演算」「その他」の10個があり、各々をクリックするとそれに属するブロックが表示されます。ブロックの使用方法は、入力エリアにドラッグ&ドロップするだけでOKです。
なお不要なブロックを削除したい場合は、画面右下のごみ箱マークにドラッグ&ドロップするか、右クリックで「ブロックを消す」を選択します。ほか、ブロックの右クリックで「コピー」「無効にする」「折りたたむ」などが選択可能です。
プロジェクトのセーブとロードは、右上の「メニュー」ボタンの中にあります。同じくメニュー内にある「チェック」をクリックすると、今プログラミングしているコードに問題がないか自動的にチェックが行われます。つまりデバッガのような機能になっています。
実行ボタンを押すと、プログラムした内容が実行されます。実行画面を終了する場合は、ESCキーを押す、または右上の×ボタンを押して終了します。
Smalrubyは島根県をはじめとする産学官連携の場面でも注目されており、Rubyの開発者であるまつもとゆきひろ氏が実行委員長をつとめる「スモウルビー・プログラミング甲子園」が開催されています。
この大会ではSmalrubyで作成したAIプログラムを使用し、AIでキャラクターを操作して対戦形式で得点を競います。2015年度は全国からの応募100組でまず予選が行われ、上位10組が島根県松江市で行われた決勝大会を競いました。
2016年度の決勝大会は2017年3月25日を予定されており、今年も熱い戦いが繰り広げられそうです。
プログラミングの超初心者でもとっつきやすいブロックから始まり無理なくソースコードの記述にステップアップしていくことのできるSmalruby(スモウルビー)は、Ruby学習にとても実用的かつ理想的なツールに仕上がっています。未経験からRuby技術者を目指したいという方は、まずSmalrubyから手に取ってみてはいかがでしょうか。
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