厚生労働省の調査によると、2021年度におけるSE(システムエンジニア)の平均年収は733.6万円。その他一般職を含めた全体の平均年収は368.8万円(令和3年度賃金構造基本統計調査より)であることから、その差は約2倍にもおよびますが、SEはなぜこれほどまでに高い年収を得られるのでしょうか?本記事では、過去5年間の平均年収やSEの年収が高額である理由、また年収を上げる具体的な方法まで解説します。
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最終更新日:2023年1月12日
目次
SE(システムエンジニア)の仕事は、顧客の要望をもとにシステムの設計図を作成すること。
プログラミングに関する知識やコミュニケーション能力だけでなく、交渉スキルや顧客への提案力など、幅広いスキルが必要な職種なだけに、報酬も高額なイメージですが、過去5年間で平均年収はどれぐらい変化したのでしょうか?
▸ 年収の算出方法
きまって支給する現金給与額(※1)× 12ヶ月 + 年間賞与その他特別給与額
※1 手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額
出典:賃金構造基本統計調査(2017~2021)|厚生労働省
上記はSEの平均年収の推移を示したグラフですが、2017年には550.8万円だった年収が2021年には733.6万円まで増加。
このことから、過去5年の間に182.8万円もアップしていることがわかりますが、では一般企業で正社員として働く20代とIT企業でSEとして働く20代の平均年収を比較すると、どれほどの差があるのでしょうか?
▸ 年収の算出方法
所定内給与額(※2)× 12ヶ月 + 年間賞与その他特別給与額
※2 所得税等を控除する前の手取り額
【参考資料】令和3年賃金構造基本統計調査:年齢階級、勤続年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額/令和3年賃金構造基本統計調査:職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
こちらは「職種を問わず正社員として勤務する20代」と「SEを含むIT関連職に就く20代」の平均年収を比較したグラフですが、20代前半の年収を比べてみてもすでに16.73万円の差が開いていることがわかります。
令和3年度の賃金構造基本統計調査によると、正社員として働く20代前半の所定内給与額(所得税等を控除する前の手取り額)は月21.3万円。とはいえ手取りとして残るのは、額面給与のおよそ75~80%なので、実際に振り込まれるのは約16万円ほどなので、一般的な20代前半の正社員とSEを含むIT関連職に就く20代前半では、年間で約一ヶ月分の給料差が出ることに。
そして20代後半では、36.12万円もの差が開くことを考えると、SEを含むIT関連職がいかに高年収が目指せるかがわかりますが、ではなぜSEは他の職種に比べて20代においても高い年収が得られるのでしょうか?
SEの年収が高い主な理由は、次の3つです。
1つめの理由は、IT業界は人材不足が深刻化しているため、プログラミングを身につけることで就職に有利になる、ということ。
近年はIT・Webサービスの発展によりIT人材の需要は上がっていますが、求人が多いにもかかわらず、開発者やエンジニアをはじめとするIT人材は依然として不足しているのが現状です。
こちらは経済産業省が発表した、「IT人材需給に関する調査」をもとに「IT人材の不足規模に関する予測」を示したグラフですが、2030年には現在よりも約59万3000人もの働き手が不足すると予見されていることからも、「市場価値」が他の職種より高くなり、結果としてSEの年収も高くなる傾向にあるのです。
そして2つめの理由は、ITに関連する技術はそもそも専門性が高いだけでなく、中でもプログラミングスキルは一般職に比べてまだまだ希少価値が高いため。
さらに、SEの仕事はシステムの設計を考えながら構築全体をマネジメントするプログラマーの上流工程に値する業務となるので、専門技術だけでなく顧客との交渉力や提案力を求められます。
したがって、プログラマーとして3年~5年ほどの経験を積んだあと、システムエンジニアにキャリアアップする方が多い傾向にあるという実情からも、必然的に年収が高くなるのです。
3つめの理由は、他の職種に比べて残業や休日出勤が多いため。
SEの仕事は主にシステムの構築ですが、どんな案件も基本的に顧客との摺り合わせによって決めた納期に向けて作業工程のスケジュールを組んでいます。その結果、納期に対して遅れが出そうであれば自ずと残業が発生するだけでなく、想定外のトラブルに対応する場合は休日に対応するケースもあるので、どうしても他の職種に比べて勤務時間が多い傾向に。
そのため、基本給に残業代や休日手当が上乗せされた結果、毎月の給料が高くなり、高年収となるのです。
ここまで解説したとおり、SEは平均的に年収が高い傾向にありますが、その中でもトップ層とそれ以外では年収額の差に開きが見られることも明白な事実です。
では、システムエンジニアにとってどのような要素が年収差につながりやすいのでしょうか?
▶ 参考:
• オープン系SE・プログラマフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
• サーバーサイドエンジニアフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
• フルスタックエンジニアフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
たとえ同じ職種であっても、会社の規模や事業内容によって年収は大きく変わりますが、SEも同様に業績の良い企業であれば当然年収が高くなります。
また、大企業であればあるほど開発するシステムの規模も大きくなり、働く人の技術レベルの条件も高くなるため、下請け企業で働くSEと比べると年収差が発生しやすくなるのです。
SEとして働く上で高年収が期待できる業界は、求められるシステムのレベルが高い業界です。
具体的には、「金融」や「SIer」「コンサルティングファーム」などが挙げられますが、とくに保険会社や銀行などの金融業は群を抜いて年収が高く、お金を扱う決済システムなどは、不具合が起きないような保守やメンテナンスも必須。
同時に、金融系SEは常に正確性を求められ、担う責任も重いため、他の業種で働くSEよりも高収入を得られるのです。
特にSIerの中でも外資系は特に年収が高く、知名度の高いグローバル企業で働く技術者ほど高年収を見込める傾向に。
また企業が抱えている問題を解決するためのシステムを構築したり代替え案を提案するコンサルティングファームは、そもそもの年収が高い業種であるため、その中で働くSEの年収額も自ずと高くなるのです。
では、SEとして働くうえで年収を上げるための具体的な方法とは一体何でしょうか?
SEとしてのスキルはどのような実務経験を積んできたかによっても異なりますが、あわせて専門資格を保持していると、キャリアアップする課程においても自分のスキルを明確に把握できるだけでなく、転職の面接時にも経歴をスムーズにアピールすることが可能です。
特に、高年収のSEを目指したいと考えている方におすすめ資格は、以下の6つ。
• 基本情報技術者試験(FE)
• 応用情報技術者試験(AP)
• プロジェクトマネージャ試験(PM)
• システムアーキテクト試験(SA)
• ITコーディネータ
• マイクロソフト認定プロフェッショナル(MCP)
とはいえ、目指す業界や担当業務によって求められるスキルは異なるため、ご自身が働きたいと考える業界ではどんな資格を取得すると昇級につながりやすいのかもぜひ調べてみましょう。
繰り返しになりますが、SEの仕事は企業規模によっても市場価値が変わります。もしあなたが高年収を目指していくのであれば、上流工程の仕事を担う企業に就職することが条件の1つとなります。
上流工程の仕事を行うためには、最初に入社した会社の中で経験を積んでキャリアアップを目指すだけでなく、ある程度の経験を積んだら元請けに近いIT企業に転職する方法も検討しましょう。
そうは言っても、いきなり元請けの大手企業を目指すことは難しいので、まずは二次受け、一次受けとステップアップしながら上流工程の仕事を担当できるようにキャリアを積んでいくとより確実かもしれません。
上流工程を担当するようになると、チームリーダーやプロジェクトリーダーなど、自ずとマネジメント職を兼ねる立場に就きます。
どの職種でもそうですが、リーダー的なポジションに配属されると昇給も見込めますが、報酬に見合うだけの管理能力も問われるため、人をまとめるリーダー職を極めるためにも、資金繰りに関する知識も身につけておくと昇格や昇給につながりやすいでしょう。
SEとして高年収を目指すには、経営者側の目線も必要です。経営者目線とは「企業の利益を最大限にするための目線」のこと。その視点に立って、「このシステムは将来的にどうあるべきか」「作業量に対してチームの工数がかかりすぎているのはなぜか」といった課題抽出と問題把握を同時に考えられるようになると、SEとしての人材価値が高まります。
特に大規模プロジェクトを仕切る社内SEともなると、各部署の業務フローの理解と分析、システム設計力、そしてシステムを入れるべきかという費用対効果の判断など、全社的な目線が必要となるので、早い内から経営側のスキルも習得しておくと万全でしょう。
▶ 参考:社内SEフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
今回は、SEの年収にまつわるテーマで解説しましたが、将来のイメージは掴めましたか?
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