プログラミング経験がない初心者の方が学習をする際の代表的な選択肢が「資格勉強」と「プログラミングスクールへの入校」です。
弊社が運営する無料プログラミングスクール「プログラマカレッジ」でも、資格取得に対する意欲が高い受講生の方が大勢いらっしゃいます。できれば「スクールにも通いたいし、資格も取りたい」方も多いのではないでしょうか。
とはいえプログラミング初心者の方にとって、資格勉強もスクール入校も両方することは簡単ではありません。
そこで今回、全国2,290会場で受検できる受検者数No.1の検定「プログラミング能力検定」の代表、飯坂 正樹さんとプログラマカレッジのキャリアアドバイザー、加藤が「初心者は資格勉強とスクール入校、どちらをすべきなのか」というテーマで対談を実施しました。
この記事では、その対談の内容をご紹介します。
最終更新日:2024年4月19日
目次
加藤(プログラマカレッジ):
プログラミング能力検定(プロ検)はプログラミング関係の資格としては比較的新しく、なおかつ受験者数が順調に増加していますよね。ITパスポートなど国家資格や、各種ベンダー資格が既にある中であえて新しい「資格」を作ったきっかけはそもそも何だったのでしょう?
飯坂(プロ検):
プロ検はプログラマーになる上で必要となるプログラミングの基礎知識(CFRP)から逆算して作っています。
他のIT技術系の資格との差としては、プロ検は「プログラミングの基礎知識を測る」ところに特化している点が大きいです。特定の言語の資格ではなく、どの言語で受験しても等しくプログラミングの力を測ることができるので、純粋なプログラミング能力の評価・証明に適しています。
プログラミング能力検定協会 代表 飯坂 正樹さん
エンジニアとしてキャリアを築き、 ソフトウェア開発企業にて人材育成や営業活動に携わってきた。 現在はプログラミング能力検定の開発・運営の傍ら、 国立大学法人長岡技術科学大学にて客員准教授としてプログラミングの講義も行う。
加藤(プログラマカレッジ):
確かにプログラミングの「基礎」はどの言語でも大きく変わらないですよね。たとえば条件分岐ですとか、変数などの考え方は1つの言語でマスターできれば2つ目以降の言語も学習しやすいです。
プログラマカレッジではJavaを採用していますが、卒業生が就職した先でもJavaを使うとは限りません。PHPなど他の言語をメインで扱うことになるケースもあるのですが、Javaで基礎を身につけた方は、就職後の動向を追っても他の言語に早く馴染んでいますね。
プログラマカレッジ キャリアアドバイザー 加藤 憲康
2009年にインターノウスに入り、キャリアアドバイザー兼営業担当として、幅広く担当後、現在はキャリアアドバイザー専任として転職サポートを行っている。
飯坂(プロ検):
そういったケースは本当に多いと私も思います。プログラミング能力検定ではJavaScript、Python、Javaの資格を用意していますが、どの言語を学んでも「基礎」が身につくし、その基礎があれば他の言語の学習の足がかりとしても十分だと考えてます。
プログラミング能力検定の公式ウェブサイトの「過去問」ではJavaScriptやPythonなどの言語で実施された試験の過去問集へのリンクがまとまっています。たとえばレベル6の試験は大学生や大人向けの難易度となっています。
飯坂(プロ検):
根本的な基礎の部分は、多くのプログラミング言語で共通していますが、その「共通している部分」を満遍なく学べる初心者の方向けの資格が、意外と世の中にないのではないかという問題意識がありました。
そこで「基礎」に特化して、満遍なく学べ、能力を評価・証明できるものとして「プロ検」を立ち上げたというのが、資格が始まった背景です。
受験会場が全国に2,290箇所あり、検定を毎月コンスタントに実施していることもあり、受検しやすさを担保したうえで「プログラミングの基礎知識に関する民間資格」として認知が広がってきている手ごたえがあります。
加藤(プログラマカレッジ):
実は、プロ検に対して「小中学生の受験生が多い」イメージがありました。いまのお話を聞くと、プロ検は高校生や大学生、第二新卒の方が受験する価値もありそうです。
飯坂(プロ検):
お子様向けのプログラミングスクールにて、検定試験として採用いただくケースもあるので「小中学生の受験生が多い」というのは確かにあります。プログラミング必修化を受けて、学習成果を確認する目的で受験いただくケースが多いです。
一方で高校の推薦入試、大学の総合型選抜にてプロ検の合格実績が評価される事例も出てきており、進学に有利な「資格」としても捉えていただいています。受験レベルとしては1~4が多いです。
また専門学校生・大学生~大人の受験では就職に向けた「資格」取得を目的として受験いただいている状況で、受験レベルも3~6が多くなります。
プログラマカレッジさんの方はどうですか?どういった層の受講者さんが多いですか?
弊社が運営する無料プログラミングスクール「プログラマカレッジ」
加藤(プログラマカレッジ):
20代前半から半ばくらいまでの方が多いです。高校や大学を卒業した後、1年から2年フリーターをしていたというような方や、大学中退の方などが目立ちます。プログラミングを学ぶことで手に職をつけ、キャリアを好転させていきたいという思いをお持ちの方が多いとも感じています。
そのため面談などでお話をすると、プログラミングを学んだ証明としての「資格」に強い関心をお持ちの方も一定数います。
加藤(プログラマカレッジ):
プログラミング初心者にとっての「資格を取る意味」「スクールに通う意味」は、飯坂さんはどんなものだと考えていますか?
飯坂(プロ検):
まず資格については、取得することで「自分の力や学習の成果が客観的に認められ、自信をつけられる」のが最大の意味だと思います。資格を取得しない場合、自分の実力は実務などを通じて証明しないといけないですよね。ですが初めて取り組んだことが「実務」を通して評価や自信に繋がるには時間がかかるのと、評価者や環境に依存する部分も大きいと思います。
その点、資格を取得することで冷静に自分の立ち位置を把握し、やるべきことが明確になると思います。また成長のマイルストーンとして資格を置くことで、明確なゴールに向かって努力することができるようになります。
一方で「資格を取ること」が目的になってしまうと、実際に有用なプログラムを作るという観点が養われない可能性があります。プロ検の合格を目指す場合でも、やはり自分でプログラムを書く練習(=コーディング)を繰り返し、生きたプログラムの中で知識を理解していくことが必要です。この「生きたプログラム」を書く練習ができる先として、スクールはやはり大きな価値があると思います。
たとえばプロ検のレベル1は、初学者が例えば週に1時間程度勉強した場合で、学習開始から2〜3か月後に受験可能となるように出題範囲や難易度を設定しています。
まずスクール等で学習を進めた上で、身近な目標として、また、それまでの学習の客観評価(証明)として資格を利用することは、未経験の領域で学習を続ける上で有効だと思います。
加藤(プログラマカレッジ):
「生きたプログラム」を学んで、実践できる初心者の方向けの場所としてスクールがあるというのは腑に落ちる感覚があります。
プログラマカレッジの受講生の方の中には、入学前に独学などをしていない方もかなりいます。プログラミングの知識が全くないという方が、書籍や学習サイトを通じて完全に独学をするというのは「始める前段階」でかなりハードルがあるのだと思います。講師などが密接に指導する形で「生きたプログラム」を教えると、飛躍的に成長する方はとても多いですね。
その一方で、プログラマカレッジではカリキュラムを通じてベンダー資格の取得もかなり積極的にサポートしています。「生きたプログラム」は実践的ですが、それだけでは体系的な知識が身についたといえるのか、一般論として何とも言えないですよね。
だからこそ、プログラマカレッジでは客観的に知識を証明できる「資格」も重視しています。「資格だけ取ればいい」「スクールにだけ通えばいい」のではなく、両方がベストの選択であると改めて感じました。
加藤(プログラマカレッジ):
資格の運営サイドとしては、未経験の方には資格取得後、どのようなアクションを起こしてほしいですか?
飯坂(プロ検):
資格は知識や能力を可視化することであり、その力を活かせるかは別の問題かと思います。
たとえばプログラミング学習において特に資格取得が向く人は、明確な評価を得ることで頑張ることができる人かと思います。実際には「学習前から作りたいアプリケーションが明確にある」という方よりも、こういった方が多いのではないでしょうか。
するとしばしば陥ってしまうのが、明確な評価を得ることを目的に「資格取得のテクニックを学ぶ」ということです。資格取得のテクニックをマスターするという考え方ではなく、自分でプログラムを作るトレーニングをしなければ、形だけの資格になってしまいますので、注意しましょう。
とはいえ、資格は間違いなくその方の「強み」の証明になります。
資格を取得した後は自信をもって実践の場に飛び込み、「強み」を発揮し、活きたスキルを身につけて成長し続けてほしいと思います。
加藤(プログラマカレッジ):
プログラマカレッジは数あるプログラミングスクールの中でも、資格取得をカリキュラムの中で重視しているスクールの1つです。受講生の方が「生きたプログラム」を学んだうえで、なおかつ「強み」も資格を通じて証明できる環境を今後も作り上げていきます。今日はありがとうございました!
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