MITメディアラボによって開発された教育用プログラミング環境であるScratch(スクラッチ)は、小学生向けのプログラミングスクールなどで今一番人気のプログラミング言語です。
そう聞くといかにも子ども向けのように思えますが、しかしその実はアルゴリズムの概念やプログラミングの考え方の基本を学ぶためには、大人にとっても最適なツールとなっています。
初めてプログラミングという概念を学ぶ方へ、Scratchは年齢を問わずおすすめのサイトです。
目次
サイトURL | https://scratch.mit.edu/ |
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対応する言語やスキル | ビジュアルプログラミング言語 |
利用料金 | 無料 |
教材タイプ | ブラウザ入力(ダウンロード版あり) |
対応レベル | プログラミング入門者 |
備考 | 日本語対応 |
Scratch2.0はビジュアルプログラミング言語を採用しており、プログラミングと聞いて思い浮かべるコード入力を必要としないプログラミング言語です。コードを入力する代わりに「ブロック」と呼ばれる部品を組み合わせていくことによって、プログラミングを進めていきます。
そう聞くと子どものおもちゃでは?と思われがちですが、なかなかこれが侮れません。プログラミングを学ぼうという方は一度は「フローチャート」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、ブロックをつなげていくという操作はまさにこのフローチャートを作成することによく似ているからです。
ITエンジニアの世界では、処理のフローを考えるということがとても重要です。楽しくブロックを繋げていくことで自然と論理的思考が養われ、処理のフローやアルゴリズムを考える力が身につくのです。
またこのブロックは、流れを変換することなくそのまま対応するコードに置き換えることができます。これまで全くプログラミングに触れたことのないところからプログラマを目指す大人にとっても、Scratchから始めても決して損にはならない素晴らしい学習ツールとなっています。
Scratch2.0はブラウザ上で動くアプリケーションであり、基本的にダウンロードやインストールは不要です。しかしどうしてもネットに接続せずスタンドアロン環境で動作させたいという場合は、オフライン版の「Scratch 2 Offline Editor」を利用することも可能です。
「Scratch 2 Offline Editor」ダウンロードサイトへ >>
Scratchはユーザー登録をすることなく、アクセスしてすぐに触ってみることが可能です。ただし未登録ではセーブができませんので、本格的に学習を進めたくなったら登録しておくことがおすすめです。
なお登録にはメールアドレスが必要です。必要事項を入力すると認証メールが届くので、本文中にあるURLをクリックすると登録完了となります。
Scratchの使い方はとても簡単です。
まず左上にある「作る」をクリックすると、編集画面が表示されます。
編集画面の左上が実行画面、左下が背景やスプライトと呼ばれるキャラクターの管理画面、画面中央がブロックと呼ばれるスクリプトの塊が表示されるパレット、画面右側がプログラムの入力(ブロックを並べる)画面です。
中央のブロックをクリックでつかんで、右の入力画面にドラッグ&ドロップします。つなげることができるブロックはぴったりとくっつく形になっているので、パズルを組むように処理の順番に並べていきます。
ブロックをダブルクリックすると、その命令が1回実行されます。クリックしたブロックにつながっているブロックがあると、1回のダブルクリックでつながれた一連のスクリプトが順次実行される仕組みです。
なお画面右側にチュートリアルが表示されますので、それに沿ってすすめるとプログラミングの基本を学ぶことも可能となっています。
チュートリアルは一部英語表記ですが、子ども向けのごく平易な表現が使用されており安心です。
作成したプロジェクトは、全世界に公開して共有することが可能です。
共有されたプロジェクトにはコメントを寄せられるだけでなく、プログラムを参照して誰でもリミックスすることができます。リミックスされたプロジェクトは元のプロジェクトに表示されますので、リミックスされた数を競うのも面白そうです。
また思い描いたゲームを最初から作るのは難しいという場合、リミックスで改造するところから始めると初心者でも複雑な作品を作りやすい環境が整っています。
Scratchを実際に利用してみた方の感想や、教育関係の方の評価を集めてみました。
ここから始めてみるのか、飛び越えてもう少し実践的なコード入力のあるサイトから始めてみるのか、判断材料にしてみて下さい。
「好きなゲームをつくれるのが楽しい」
「思っていたよりも、プログラミングって難しくなかった」
「ブロックを組み合わせるだけで思いどおりのことができるのがいい」
「もっとたくさん動物のキャラクターとかを入れてほしい」――そんな声が子どもたちから上がった。
(出典:Scratch(スクラッチ)がもたらすクリエイティブな学びのサイクル―プログラミング学習の可能性)
本実践を通じて,Scratchを用いることで文系大学生に,プログラミング入門のための授業を実践することができた.2回の作品づくりと段階的なプログラミング練習を通じて,スプライト制御,座標,繰り返し,条件分岐などのプログラミングついて理解するとともに当初の簡単な作品から,2回目には,より複雑で多様な作品がつくられた.またアンケート結果から,プログラミングの活動を通じて,コンピュータを使った作品制作やプログラミングへの興味やコンピュータやインタラクティブメディアの仕組みへの理解を高めることができたことも確認できた.今後は変数の取り扱い等,さらに複雑なプログラミングを可能とするような練習課題やさらに多様な作品づくりを可能とする授業デザイン,受講者支援の方法について検討を進めたい.
(出典:日本教育工学会論文誌 – Scratchを用いた文系大学生向けプログラミング教育)
本格的な3Dシューティングや脱出ゲーム、マインクラフトっぽいゲームやマリオみたいなアクションなどだけでなく、とても美麗なグラフィックやアニメーションまで、Scratchだけで実現しているプロジェクトが多数共有されています。
■キャットのスキージャンプ
https://scratch.mit.edu/projects/102426989/
■3D Maze Escape
https://scratch.mit.edu/projects/14777574/
■マインクラフト2D日本語版
https://scratch.mit.edu/projects/147515916/
■スターウォーズ ダースベイダー戦
https://scratch.mit.edu/projects/97801074/
■Scratch2.0プロジェクト一覧ページ
https://scratch.mit.edu/explore/projects/all
ぜひ初めてのプログラミングのお供に、Scratchに触れてみてはいかがでしょうか。
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